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ついに主催団体が分裂!?「阿波おどり」やっぱりこの夏開催危機

徳島で激化する「対立」を追う

イベントが利権化して……

「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ」

夕暮れ時から2拍子のお囃子のリズムにのって浴衣姿の男女が街中を踊り歩く。徳島県が誇る「夏の風物詩」、阿波おどりだ。この阿波おどりが今、本当に「えらいやっちゃ」な事態に直面している。

「徳島市と、これまで阿波おどりを主催してきた徳島市観光協会との間で対立が激化し、主催団体が2つできるという異例の事態となる見通しです」(地元関係者)

一体何が起きているのか。事の発端は阿波おどりを主催している徳島市観光協会が抱える4億円超の累積赤字だ。徳島市はこれを問題視し、観光協会の破産を申し立てた。

その後、徳島市は観光協会に代わる主催団体として、市を中心とした実行委員会を4月中にも立ち上げる方針を表明した。

さらに、4月17日には観光協会とともに阿波おどりを主催してきた徳島新聞に対して実行委員会に参加するよう要請した。徳島新聞は参加する意向を市側に伝えている。

 

観光協会vs.市と徳島新聞。なぜこのような対立が起きているのか。観光協会の花野賀胤事務局長の言い分はこうだ。

「赤字は、ともに阿波おどりを主催してきた徳島新聞が、自社やグループ企業だけが儲かるような運営を行ってきたために生じたものです。

徳島新聞は近年、有料席のチケット10万枚のうち、人気席を中心に毎年2万~3万枚を確保していました。そのため、一般発売が始まっても販売直後に売り切れてしまう。さらに、会場を埋める広告看板の作製は徳島新聞のグループ企業に発注されていました」

つまり徳島新聞社がイベントを利権化しているために、観光協会の赤字が積み上がっていたというのだ。

「遠藤彰良市長は徳島新聞のグループ会社である四国放送出身です。また徳島県でシェア70パーセント以上を誇る新聞社を敵にまわすと選挙に差し障りがあると考えているのでしょう。

こうした事情から、本来中立であるべきはずの市長は、赤字の責任を観光協会に押し付け、率先して『観光協会潰し』を行ってきたのです」(観光協会幹部)

市の破産申し立てを受け、徳島地裁は3月29日、観光協会の破産手続き開始を決定した。

すると、徳島新聞は待ってましたとばかりに、「将来の阿波おどりの安定的な運営や振興のため」として「阿波踊り振興基金」の設置を市に提案し、新しい実行委員会に3億円を寄付する旨を発表。

その上で新実行委員会への参画を明らかにした。こうして阿波おどりは市と徳島新聞の手中に収まるかのように見えた。

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しかし、観光協会は諦めていなかった。破産して、万事休したかに見えた観光協会だったが、4月16日、決定を不服として即時抗告。なんと約3.8億円の負債額のうち、3.3億円を協力金で集めることに成功したのだ。

「十数社の企業と阿波おどり振興協会からご協力いただきました。阿波おどり振興協会では16連(踊り子グループ)がそれぞれ協力金を集めました。

所属の踊り子は2000人近くいますが、それぞれ1万円から、多い人だと数百万円を出してくれました。踊り子あってこその阿波おどりですから、本当に嬉しい」(前出とは別の観光協会幹部)

現金を用意できたため、観光協会は破産を回避できる見通しだ。