中退、引きこもり、貧困、発達障害…暗闇のなかの歩き方を支援する

【特別対談】鈴木大介×安田祐輔
鈴木 大介, 安田 祐輔 プロフィール

子供の貧困対策で「進学支援」は正しいのか

鈴木:なるほど。「選択肢を広げるため」ってことですね! それは『暗闇でも走る』には書かれていなかったので、すごく大事なことなので、あとがきにでも…。

安田:書き足します!(笑)

鈴木:僕、すごく今不安に思っていることがあるんです。僕が取材してきた子たちは勉強が嫌いだし、逆に勉強するぐらいだったら他で要領よく例え裏の社会でも生きていくことを選ぶという子が多かったので、その子たちを教室に戻すというハードルの高さがあるにもかかわらず、子供の貧困対策にまず進学支援が行われると、教育が産業としてお金になることでいろんな企業が寄ってくるわけですよ。

写真:柏原力

発達の問題がある子達に対する医療的な早期介入も、一気にビジネス化した感じもあって、同様のことが子どもの貧困対策で起きていることをとても危惧しています。

安田:そうですね。そこにも課題意識を持っています。子供の貧困対策の一環として学習支援業務を色んな区が委託に出してるんですけど、普通の家庭教師会社が、普通のアルバイトで登録してる先生を対象家庭に送り出しているような自治体もあって。

ただの大学生を送ったところで様々な課題を抱えた子どもたちの支援はできないので、だからこそ僕は自分の会社を大きくしなくちゃいけないと思っているし、それができる人材教育をやらないといけないと思ってます。各自治体で貧困対策の政策を作っている方にもその辺りの理解を広げていきたい。

鈴木:ですね。そもそも現状の日本の子どもの貧困や格差が深まった根底には、教育が産業化したことがありますから。今の子供の貧困の敵の本丸は教育産業だと思ってるんですよ。それは家庭の支出を増大させたこともそうですし、大学への進学率を上げて卒業後の家庭に余裕をなくしたというのもそう。

 

正直言ってそこの文脈の人たちが子供の貧困支援に入って来ることが許せない。だから、そのパターナリズム的なものがどれだけ当事者的に無意味なのか、全く専門性のない家庭教師の大学生をポンと投げることは貧困の支援にはならないことを安田さんにはぜひ強く発言してほしいな、と。

安田:その部分に関しては、半分賛成で半分違うかなと思うところがあって…というのも、学校の先生と合わない子供の受け皿に塾がなっているというところがすごく多いんですよ。

鈴木:たしかにそうですね。ただし、親に払うお金があれば、ね。

安田:あれば。僕は自分がそうだったからバイアスがかかってるところもあるんですけど。不登校の原因のほとんどが、学校が合わないか、いじめられているか、です。文科省のデータにはそう出てないですけど、現場でやってる人間からすると学校の先生の問題ってすごく大きくて、もちろん良い先生もたくさんいらっしゃいますけど。「学校今日行きたくないんですよ」って言った時に「学校は行くものだろ」と価値観を押し付ける、とか。もちろん暴力的な先生は今はだいぶ減りましたけども。