1月1日に天文学的意味はない。「二十四節気」と暦の深い関係

なぜ年によって微妙に変わるのか
熊谷 香菜子 プロフィール

1月1日に天文学的意味はない

現代日本の暦であるグレゴリオ暦についても簡単に紹介しましょう。グレゴリオ暦は太陽の動きを基準とした太陽暦です。1太陽年は365日きっかりではないので、この暦もずっと続けると、やはり季節と暦がずれてしまいます。そこで、うるう日の登場です。うるう日を入れる年のルールは、

  1. 西暦が4で割り切れる年
  2. そのうち、西暦が100で割り切れる年は入れない
  3. それでも、西暦が400で割り切れる年には入れる

というものです。これで1年の長さの平均を1太陽年とほぼ同じにしています。

うるう月、うるう日が出たので、おまけにうるう秒も紹介しておきましょう。

うるう秒は、季節と暦のずれではなく、地球の自転と関連して1日の長さを補正するものです。実は、地球は自転の速度も厳密には一定ではありません。そのため、地球の自転を基準にした時刻と、原子時計が刻む時刻にずれが生じます。このずれが0.9秒を超えた時にうるう秒を使います。

うるう秒は増やすだけでなく、1秒減らすこともありえますが、制度が始まった1972年以降に実施された27回は、全て1秒増やす調整でした。

さて、話を暦に戻しましょう。グレゴリオ暦は、遡ると古代ローマ時代にルーツがあります。当初の暦は太陽暦ではなく、その後の変遷では宗教や文化的な要素が多大に反映されてきました。結果として、私たちが新年を祝い初日の出を拝む1月1日は、春分や冬至のような天文学的イベントとは無関係のなんでもない日になりました。二十四節気の日取りが中途半端に感じられるのは、グレゴリオ暦が二十四節気にキリのよい日付を当てていないからだとも言えるでしょう。

二十四節気は季節とずれているのか

二十四節気、旧暦、グレゴリオ暦をみてきたところで、いよいよ冒頭の疑問です。二十四節気は季節とずれているのでしょうか。

季節の移り変わりの一番のベースは、地軸の傾きのために、太陽から受ける日射が時期によって変わることです。このことは、夏と冬の日差しの強さの違いで実感できます。

しかし、実際の気候の変化は、日射がすぐに反映されるわけではありません。日中、太陽から受けた熱は地表をあたため、地表は空気をあたためます。夜は、太陽から受ける熱がなくなり徐々に冷えていきます。

長期的な気温の変化をつくるのは、その繰り返しで起こる熱の蓄積によるものなので、夏至や冬至と気温のピークは一致しません。特に夏至は、日本では梅雨にあたり、曇の多い日が続くため、気温が上がるのは梅雨明け後になるのです。

「暦の上では~」と説明される、立春、立夏、立秋、立冬は、春分、夏至、秋分、冬至のちょうど中間に配置された点です。たとえば、立春は寒い盛りの2月4日ごろ、立秋は暑い盛りの8月7日ごろにやってきます。

でも、見方を変えれば、季節の盛りに訪れるということは、それを境に次の季節に向かっていくともいえます。「今日から夏」と言われると違和感がありますが、「今日から夏に向かっていきますよ」ならば、穏やかに受け止められるのではないでしょうか。

二十四節気二十四節気 all photo by iStock

その他の、雨水(雪が雨に変わる頃)や霜降(霜が降りる頃)などのずれについては、一般に、二十四節気は中国発祥だから日本の気候と異なると説明されています。それはそれとしても、日本は南北に長く、地域によって気候の変化に富んだ国なので、そもそも日本全国で同時に通用する名称をつけることは不可能だともいえるでしょう。

二十四節気は、どの暦よりも純粋に太陽と地球の位置関係を反映しています。国立天文台の暦要項では、それぞれの正確な時刻も見ることができます。これから夏に向かい、太陽の存在感が増していく中、太陽の周りをまわる地球の動きに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

参考
国立天文台 天文情報センター暦計算室 http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/
暦要項のページ http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/yoko/