元祖JKライターとしてトレンドの先端を走り抜け、JDになった現在ではエディター・マーケターとしても大活躍のもーちぃさん。「自撮り」に青春を捧げ、自らを「盛り」続けた19年間を振り返ります。
も・る【盛る】
1 器に物を入れて満たす。「御飯をー・る」。
2 高く積み上げる。「土をー・る」
3 薬を調合して飲ませる。特に、毒を混ぜて飲ませる。
(三省堂『大辞林』より)
ティーン世代にとってもはや流行語でもなく、日常的に使われている「盛る」という言葉。辞書にはこんな風に書いてあるが、彼女たちの使う「盛る」という言葉の意味はもっと深く、複雑だ。ここから、「盛る」という言葉に振り回された私の人生を振り返りたいと思う。
1999年2月20日に三重県伊勢市で生まれた私は、東京の町田市で幼少期を過ごした。その後、小学校2年生になる頃、コリアンタウンとしておなじみの新大久保に引っ越し、今まで新大久保で育ってきた。
そんな私が「盛る」という言葉に出会ったのは、2005年、小学校1年生の時だった。当時、キャバクラで働く女の子たちのファッションやメイクが注目されていて、2005年はキャバ嬢系ファッションやメイクをメインに紹介する雑誌『小悪魔ageha』が創刊された年でもあった。
そんな中私が初めて「盛る」という言葉を知ったのはキャバ嬢の髪のセットを「盛り髪」と紹介していたTV番組がきっかけだった。逆毛をスプレーで固め高くセットした髪を始めて見た時の衝撃は今でも思い出せる。「盛り髪」がメディアで大きく取り上げられてから、「盛る」という言葉は若年層に浸透し、発展を見せてきたのではないだろうか。
余談にはなるが、「盛る」という言葉に出会った翌年。小学校2年生になった私が引っ越した新大久保は、日本一の歓楽街、歌舞伎町のすぐ近くに位置しているので、同じマンションにキャバ嬢、ホストといった職業の人も住んでいた。通学する時にマンションの廊下で帰宅するキャバ嬢に遭遇することも珍しくなく、小学生にして本物の盛り髪を目にしていたということになる。
「盛る」という言葉は、髪の毛を盛るという使い方から発展を見せた。その後、メイクですっぴんよりも可愛く見せることを「メイクで顔を盛る」という風に使ったり、実際にあった現象を大げさに話すことを「話を盛る」と使うようになった。
私が初めて盛ったのは顔でも髪でもなく「年齢」だったと思う。何かを発信することがとにかく大好きな小学生で、3年生のころから自分のブログを始めた。内容は主に美容やメイクについてだった。なかなかブログの順位が上がらず悩んでいた時、原因は自分が小学3年生であるからではないかと考えた。小学3年生の発信する美容やメイク情報を知りたいと思う人はまぁいないだろう、と気づいたのだ。
そこで私は、高校3年生とOLになりきって2つのブログを新しく開設した。「年齢を盛った」のだ。ちなみにブログのアクセス数とランキングは好調に上がった。特にOLブログには多くのファンがついていた。中学生になる頃に親にブログを書いていることがバレ、閉鎖することとなったが、これが私の記憶にある初めての「盛り」だった。