『ノストラダムスの大予言』なんでみんな信じちゃったのか

山本弘×片山杜秀×大槻ケンヂ
週刊現代 プロフィール

新興宗教への影響

大槻 映画の『ノストラダムスの大予言』('74年公開)も衝撃的でしたよね。父に連れられて、兄と観に行ったのですが、それが怖くて怖くて。

環境学者を演じる丹波哲郎が、放射能を浴びて食人鬼と化してしまった原住民を撃ち殺したり、天変地異に襲われ、放射能にも汚染されて。あの映画を観たあと、トラウマで数年間は映画館に行けないほどでした。

 

片山 本を読んだことのない子どもでも映画は観ていましたからね。その後、被爆者団体などの抗議で封印作品となりましたが、そんな問題含みの映画を文部省が推薦していたんだからすごい時代です。

ところで映画『ノストラダムスの大予言』は、創価学会の価値観に裏打ちされていたと私は思います。丹波哲郎や首相を演じる山村聡のセリフがとても『第三文明』(創価学会系の月刊誌)的なんです。

「一人ひとりが己の欲望を捨てて人類愛に目覚めないと世界が滅びる」といったセリフは、人間革命を起こして生き方を変えないと世の中はもたないという学会の思想とダブる。

しかも映画の調子が、同じく丹波哲郎主演の同時期の作品『人間革命』ととても似ている。

山本 逆に『ノストラダムスの大予言』が新興宗教に影響を与えたという側面もあります。私は、五島さんがこの本を書かなかったらオウム真理教による地下鉄サリン事件は起きなかったと思う。

'70年代以降の日本の新宗教は『ノストラダムスの大予言』の影響を少なからず受けていますから。

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片山 私は'63年生まれなのですが、オウム真理教の中堅幹部たちは'62年から'64年生まれが多く、私とほぼ同世代です。

この世代は実に多感な時期に『ノストラダムスの大予言』に出会っています。もう少し下だったら意味がわからなかっただろうし、もう少し上だったら相手にしなかったかもしれない。子どもの頃にこの本に直撃されているか否かというのは一生ついてまわるんです。

山本 オウム以外でいえば幸福の科学が有名ですね。大川隆法さんはノストラダムスの霊言を何冊も出していますよ。