日本人が知らないモスクワの「驚くべき噂と都市伝説」に迫る

地下に「何か」がある…?
小泉 悠 プロフィール

伝説2:モスクワ大学の地下に「もうひとつのクレムリン」が?

「メトロ-2」と並ぶ、モスクワの地下にまつわる噂がある。

モスクワ大学の正面に広がるラメンキ地区の地下に、巨大な地下空間が建設されているというものだ。そして、この地下空間にまつわる噂も、やはりかなりの真実味を帯びている。

先に挙げたスターリン書記長の地下壕に代表されるように、ソ連政府は全面戦争に備えて様々な地下施設を建設していた。

戦前は地下鉄駅の建設に合わせて政府や軍のための予備地下施設を建設していたが、核兵器が登場すると地下鉄程度の深さでは核攻撃に耐えられないと考えられるようになり、より深くに建設されるようになった。

こうした地下施設の中で最も有名なのは、クレムリン宮殿からほど近いタガンカ地区に建設された第42地下壕(ブンケル42)である。

総面積7000平方メートルにも及ぶ広大な地下施設で、核戦争時に爆撃機部隊に指令を出すための通信設備や政府の放送設備、そして政府高官の避難施設などが備えられていた。

地上には普通のアパートとそっくりな建物が建てられ、関係者はここから出入りしていたほか、地下鉄とも繋がっていたという。

俄かには信じられない話だが、この施設は2006年から冷戦博物館として一般公開されており、誰でも見学することができる(要予約)。

 

問題のラメンキ地区は、これよりもさらに巨大な施設であるようだ。

詳細は明らかになっていないが、ブンケル42の収容人員が600人ほどであるのに対し、ラメンキの地下施設は1万人から1万5000人ほどを収容する能力を持っていたとされることから、格段に大規模な施設であるらしいことが伺える。

おそらくは核戦争下でも最低限のソ連政府の機能を継続するため、各省庁の職員を疎開させるための予備施設だったのだと思われる。

また、ラメンキ地区は前述の「メトロ-2」第1路線のルート上に位置しており、秘密地下鉄ネットワークにも繋がっていた可能性が高い。

ラメンキ周辺にはほかにも、参謀本部アカデミーやKGB暗号学校(カスペルスキー社を設立したエフゲニー・カスペルスキー氏の母校として知られる)といった軍事・諜報関連の教育施設が存在していることから、これらも地下施設や秘密地下鉄につながっていたと言われる。

ラメンキの地下施設も現在は稼働していないと見られているが、ブンケル42のように機密解除されていないところを見ると、一部はなんらかの形で利用されている可能性もある。

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