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あらゆるものを資産化する「メルカリ経済圏」のポテンシャル

日本発のルールにこそ活路はある
世界に「新しい経済圏」が張り巡らされようとしていることをご存じだろうか。アマゾン経済圏がその一つで、日本はその一部に組み込まれている。
一方でこのアマゾンに対抗できる日本発の企業も台頭してきた。アマゾンと日本のアパレル業界との攻防を見てきた田中道昭氏(『アマゾンが描く2022年の世界』著者)の集中連載。最終回は「メルカリ経済圏」の展望を描く――。

*本連載の目次
(1)ジェフ・ベゾスの次の野望は「アマゾン・カー」の実現だった
(2)ユニクロ、ゾゾを狙い撃つ「アマゾン・ファッション」の驚異的な戦術
(3)アマゾンと激突必至のゾゾタウンが企む「2つの革命」
(4)あらゆるものを資産化する「メルカリ経済圏」のポテンシャル

「ポスト・アマゾン」になりうる日本企業

米中貿易摩擦に世界中がおののいていた3月下旬、我々が突如目の当たりにしたのは、アメリカという国家と新興経済圏とのもう一つの経済摩擦だった。

「州に税金を払わず、郵便システムを我が物顔に利用して、数千もの小売業者を失業させている」

米・トランプ大統領がツイッターで宣戦布告した相手は、米アマゾンドットコム。大統領が反トラスト法違反での提訴を検討していると報じられるや、ナスダックのアマゾン株は7%超も下落した。80兆円に迫っていたアマゾンドットコムの時価総額は実に5.7兆円も目減りしたのだった。

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しかしそんなことは一過性の問題に過ぎないだろう。この事件の歴史的な意味は、アマゾンがアメリカ、ドイツ、イギリス、そして日本で築いた一大経済圏が、自国の国家元首でさえも放っておくことができないほどに巨大化したということだ。

このアマゾン経済圏に対抗しようとする勢力も存在する。中国のイーコマース(EC)大手、アリババが、グレーターチャイナ(中国・香港・シンガポールなどを含めた大中華圏)の圧倒的な市場を武器に、アジア全域にアリババ経済圏を張り巡らせようとしている。アマゾンとアリババはこれから互いの経済圏の攻略にしのぎを削ることとなるだろう。

では日本は今後、このEC界の両雄が築いた2大経済圏に翻弄され続けるしかないのだろうか。筆者はそうは見ていない。アマゾン、アリババとは違う次元で、新たな経済圏を創ろうとする日本企業があるからだ。

メルカリこそが、将来的にポスト・アマゾンとなれる可能性を秘めているのではないか。2018年のファッション界を占ってきた本連載の最終回はこの問いかけから始めたい。

 

メルカリが蓄積する「ビッグデータ」

メルカリは2013年、山田進太郎氏(現会長)が創業したフリーマーケットアプリを運営するEC企業である。創業からわずか5年ではあるが、マーケットの評価額(時価総額に相当)が10億ドルを超える、いわゆる“ユニコーン”企業となった。

中古品をはじめ、あらゆるものがネット上で気軽に売買できる。陽気な日曜日のフリマをネット空間に出現させ、常時取引を可能とした。

ときには「現金」や「領収書」が出品され物議をかもしたが、様々な問題を提起しながら拡大を続けているのはアマゾンと同様である。いまや1日で取引される中古商品は100万点を超え、その多くはアパレルや時計、ジュエリーなどのUSEDファッション関連が占めている。

利用者には「新品の服を買わなくても充分だ」という満足の声が広がっており、既存ファッション界の脅威となるのは自明の理だった。そして今年、メルカリは新たに日本のファッション界に進出してきたアマゾンとあいまみえることとなるのだ。

ECファッション界でのメルカリの実力を見て行こう。

本連載で見てきたように、アマゾンは巨大なテクノロジー企業である。その実力は「ビッグデータ×AI」によって担保されるが、もちろんメルカリもテクノロジー企業として、存在感を示し始めている。

メルカリの有益なビッグデータとは、毎月100億円を超える売買の取引データ、そして利用者が出品する1日100万点の商品の画像データである。

メルカリはアマゾンが品川に築いた巨大スタジオを凌駕する画像データを日々、蓄積しているのだ。