「休日に旅行やスポーツでリフレッシュ」はとんでもない勘違いだった

旅先で寝付けない、本当の理由とは?
梶本 修身 プロフィール

運動することで「疲れがリセットされた」と感じるのは、脳内にエンドルフィンやカンナビノイドといった「脳内麻薬」と呼ばれる物質が放出され、疲れが一時的に隠されるためです。しかし、こうした脳内麻薬の効果は長続きしません。

本当に脳と身体を休めて疲れを取り去らない限り、疲労はむしろ多く蓄積されることになります。スポーツクラブに通う時間があるなら、少しでも早く帰宅してゆっくり休むほうが、疲労回復のためにははるかに効果的なのです。

 

なぜ人は旅館の中を見て回るのか

また、疲労回復やリフレッシュといえば、旅行や温泉を思い浮かべる方も多いかもしれません。

たしかに、温泉にゆっくり浸かることには一定の効果があります。ただ、これも自律神経を休める上では必ずしもいいことばかりとはいえません。特に、わざわざ遠方の温泉宿まで自動車を運転して出かけるのは、脳が休まるどころか逆に疲れるだけです。

人間の脳は、外部情報の90%を視覚から入手しています。ドライブ中は周囲の車の動きなどに絶えず注意を払わなければならず、脳に伝達される情報量が激増します。当然ながら脳に多くの負担がかかり、疲労につながってしまうのです。

ちなみに、高速道路で長時間運転していると、視点が前方に固定されてしまったような状態になり、うまく周りを見ることができなくなることがあります。これは、脳が「これ以上情報を入れないでくれ」というSOSを発し、視覚情報の量を無意識にコントロールしようとしている結果です。このような状態になるとかなり危険なので、すぐに休憩をとらなければなりません。

そもそも、自分が知らない遠くの場所を訪ねること自体が、「アウェイ」へ乗り込んでゆくことと同じで、脳への負荷が大きく増す行為です。

旅館に着くと、館内を探検したり、宿の近所を散歩したくなりませんか。あれは、動物が寝床の周囲に外敵がいないか見て回るのと同じで、新しい環境に危険が潜んでいないか、無意識のうちにチェックしようとしているのです。

旅行先で興奮してなかなか寝付けないのも、決して楽しいからではなく、「知らない場所で寝る」ことには動物として大きなリスクが伴うからにほかなりません。

そのほか、強い紫外線も自律神経には大敵となります。極論に聞こえるかもしれませんが、究極的には「家でゴロゴロする」ことが、疲労回復にはなにより効果的というわけです。

(つづく)