「休日に旅行やスポーツでリフレッシュ」はとんでもない勘違いだった

旅先で寝付けない、本当の理由とは?
梶本 修身 プロフィール

逆に言えば、「疲れているな」という自覚があるかどうかによって、自分の本当の疲れの状態を判断するのは非常に難しいということでもあります。人が明確に意識できる疲れは全体のごく一部であり、いわば「氷山の一角」なのです。

では、「本当は、自分はどのくらい疲れているのか」をどうやって知ればいいのでしょうか。前回登場した「脈波」の計測器で調べれば一目瞭然ですが、脈波計測器はまだそれほど普及していません。

カギとなるのは、普段の生活の中で無意識に感じている「衝動」や、思わずしてしまう「行動」です。

例えば、いつもはオフィスのあるフロアまで階段を使っているのに、今日はなんとなくエレベーターを使った。いつもは駅まで歩いているのに、なんとなくバスに乗ってしまった。帰宅して、お風呂に入るのがなんとなく面倒くさかった。無性に甘いものが食べたくなり、お菓子を買ってしまった……。

このように、知らず知らずのうちに普段と違う行動をしているときは、「隠れ疲労」がたまってきていることを疑ってください。

 

楽しいはずのデートなのに、今日はちょっと行くのが面倒くさいな、と感じる時などは、かなり疲れがたまっているとみて間違いありません。特段疲れているという意識はなくても、なぜかいつもと違う行動をしたり、衝動が起きたりする背景には、疲れが潜んでいる可能性が高いと言えます。

このような無意識の衝動は、意識に表れてくる疲労よりも正直です。なぜなら、そもそも衝動とは、身体が無意識に発しているシグナルが集積されたものだからです。

例えば、誰でも毎日のように「お腹が空いたな」と感じることがあるはずですが、「どうしてお腹が空いたとわかるの?」と聞かれても、うまく答えられないはずです。「いま空腹だという証拠を出せ」と言われても、どうしようもありません。

根拠はわからないけれど、前回の食事から一定の時間が経過すると私たちは空腹を感じ、何か食べようとします。これは無意識下の様々な情報が、身体中から脳に集まっているためです。

血糖値が下がっている、胃の中の食べ物がなくなった、といった情報はつねに脳へ送られているのですが、私たちはそれをはっきりと知ることはできません。

疲れの場合もこれと同様に、はっきりと意識できるケースは実はかなり限定的です。だからこそ、自分の「衝動」に耳をすますことが大切になってきます。

ジムに通うより、さっさと帰ろう

では、自分の疲れを敏感に察知することができたとして、どうすれば疲れをリセットし、その蓄積を食い止め、自律神経の能力低下を阻止できるのでしょうか。

残念ながら、薬などの力で劇的に自律神経の能力を回復させる術は、今のところ見つかっていません。日ごろの生活習慣を見直すしかないのです。

まず、本連載の第1回で紹介したように、なるべく「アウェイ」ではなく「ホーム」の環境を重視することが大切です。簡単に言えば、精神的・肉体的に負荷がかからない環境にできるだけ身を置き、無理のない行動を心がけることです。

「なんだ、そんなこと当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、良かれと思って、実際には正反対の行動をしている人も少なくありません。

たとえば最近は、仕事帰りや土日にスポーツクラブに通い、汗を流すのを習慣にしているビジネスマンが増えています。身体を動かして汗を流せば、鍛えられて疲れにくくなるし、ストレス発散にもなる。そんな声をしばしば耳にします。

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しかし疲労回復の見地から言えば、これはきわめて危険な行為です。普段の仕事で脳に疲労がたまっているところに、さらに運動をして、自律神経に大きな負担をかけているからです。主観的には「リフレッシュした」と感じるかもしれませんが、実際には疲れもストレスもたまっていく一方です。

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