大人気「新型タバコ」に害はない?禁煙に役立つ?今わかっていること

マナーの問題ではなく、命や健康の問題
原田 隆之 プロフィール

別の加熱式タバコとして、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ社が販売しているのが、「グロー」だ。

最近、「30日間無料体験」のキャンペーンを展開しており、オレンジ色のシンボルカラーとともに、新聞に大きな広告が掲載された。

また、後塵を拝した感のある日本たばこ(JT)は、「プルームテック」を販売しており、巻き返しを図るためか、価格はアイコスの半分以下に抑えられている。

これらは、多少の違いはあるが、いずれもタバコ葉を用いてニコチンを吸引する点では同じである。

〔PHOTO〕gettyimages

一方の「電子タバコ」は、Vape(ベイプ)とも呼ばれるが、これは加熱式タバコとはまったく異なっており、似て非なるものである。

こちらは、タバコ葉は用いず、リキッドと呼ばれる液体を加熱し、その蒸気を吸引する。

日本の薬事法では、ニコチンを含有する電子タバコは禁じられているので、こちらはニコチンが含まれていない。いわばアロマのようなものであると言える。ただし、なかにはモクモクと多量の煙や臭いを出すものもある。

また、個人輸入された海外製のものには、ニコチンが含有されているものもあれば、発がん性のある化学物質が含まれているものもある。

 

新型タバコには害があるのか

では、新型タバコ、特に加熱式タバコには健康上の害があるのだろうか。

JTによれば、加熱式タバコが現在タバコ全体に占めるシェアは、18%ほどである。そして、東京オリンピックが開催される2020年には30%を超えると見積もられている。

つまり、今でも喫煙者の5人に1人はアイコスなどの加熱式タバコを用いているということであり、早急にその害について明らかにする必要があるだろう。

この点について、まず明確にしておかねばならない点は、新しく開発されたものであるので、長期間にわたる害に関するデータがないということである。研究自体もまだ十分ではない。

しかし、「だから何も言えない」ということはなく、現時点で得ることのできる最善のエビデンスを基に議論することが、最も合理的かつ妥当な態度であろう。

アイコスの販売元であるフィリップ・モリス・ジャパン(PM)は、「有害物質を約90%低減している」とその害の小ささをアピールしている。

一方、日本呼吸器学会は、昨年10月「健康に悪影響がある限り、推奨しない」との立場を表明した。

まず、PM社のデータは、直接の利害関係者のデータであるので、エビデンスとしての価値は小さい。自社に都合のよい方法で測定したデータを、都合のよい方法で提出していると見られても仕方がないからだ(もちろん、そうではないかもしれない)。

より信頼性が置ける数少ない第三者機関のデータとして、昨年アメリカの権威ある医学誌JAMAに発表された、スイスの大学の研究者らによる研究がある。

そこでは、一酸化炭素、クロトンアルデヒドらの有害物質は確かに90%近く削減されていたが、ホルムアルデヒド、アクロレインなどは20%ほどしか削減されていないことがわかった1

科学的に見て、現時点ではこのように相反するデータがある以上、加熱式タバコの害が少ないと言い切ることはできず、リスクがある以上、慎重な規制の対象とすることは止む得ないだろう。

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