2017年度決算から読み解くコンビニ3社「それぞれの生き残り戦術」

シェア争いはもうやめた…?
加谷 珪一 プロフィール

ファミマはIT化で新しい顧客層を開拓

一方、金融サービスへの進出やポイントサービスの拡充、フィットネス事業への参入など、従来にはない新しい事業展開を計画しているのが、業界2位に浮上したファミリーマートである。

ファミリーマートと、サークルKサンクスを運営するユニーグループ・ホールティングスは2016年9月に経営統合を実施した。コンビニ事業はファミリーマートへの統一を進めており、今年の11月にブランド統合が完了する予定となっている。

 

ファミマとサークルKサンクスは重複店舗も多く、ブランド統一と同時に店舗の統廃合を進めている。統合直前における両社の店舗を単純に足し合わせると1万8000店舗を超えていたが、現時点では1万7200店舗まで絞り込んでおり、スリム化が進んでいる。不採算店舗の閉鎖で店舗あたりの売上高も拡大した。

今期の部門業績はマイナスだったが、営業収益から原価や販管費を引いた事業ベースでの収益は662億円の黒字となっており、利益貢献への道筋が見えつつある。総合スーパーのユニーを含んだ全体の業績は1.5倍の営業増益を見込んでいる。

同社は、LINEとの提携や、コインランドリー事業への進出、フィットネス事業への進出など、事業の多角化を模索中だ。同時に大株主である伊藤忠と協力して、スマホのアプリをベースにした新しい金融サービスの展開も計画している。

ファミマは経営統合によって業界2位となったが、飽和市場においてトップのセブンに追いつくのは至難の業である。スマホ依存度が高い新しい顧客層を開拓するというのは、対セブンという点では正しい戦略といってよいだろう。

結局のところ、コンビニ3社は市場飽和を目の前にして、それぞれ独自の路線に踏み出しつつある。

「人」を重視し、従来路線を深掘りするセブンと、徹底して省力化しコンパクト化を模索するローソン、そしてスマホをフル活用するファミマ。順当なシナリオでは、セブンが引き続きトップ維持ということになるだろうが、ひょっとするとファミマの新戦略が業界動向を大きく変える可能性もある。

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