2017年度決算から読み解くコンビニ3社「それぞれの生き残り戦術」

シェア争いはもうやめた…?
加谷 珪一 プロフィール

同社は昨年から創業以来、初となる本格的な店舗レイアウトの刷新に乗り出している。冷凍食品を増強することで共働きの女性客を獲得するほか、焼き鳥などの新商品投入で男性客の「もう1品」を狙う。

米国市場は今後も堅調な伸びが期待できるので、当分は海外事業による営業利益拡大が見込める。この間に、国内の店舗網の体質強化を図る算段である。

コンビニ各社は人手不足を背景に、無人レジなど業務の自動化を検討しているが、セブンは逆に人による接客強化を強く打ち出している。食洗機の導入など店員の負担を減らす施策は実施するが、大胆な無人化は考えていないようだ。

同社では、店員の接客研修を強化しており、レジ・カウンターでの商品販売を増やそうとしている。客数が頭打ちになっても、売上高の増加を維持するのが狙いである。

人にこだわる戦略はすでに十分な顧客を確保しているトップ企業ならではだが、これが吉と出るか凶と出るかは分からない。

 

ローソンは無人化でコスト削減

セブンとは逆方向に進みつつあるのが三菱商事の傘下に入ったローソンである。ローソンはコンビニ3社の中でもっとも無人化に積極的と言われるが、この動きは、経営環境が厳しくなってきたことの裏返しである可能性が高い。

ローソンの2018年2月期の決算は売上高こそ前年比4.1%のプラスだったが、営業利益は前年比10.8%減の658億円にとどまった。当期利益はさらに悪く、前年比26.3%のマイナスである。

Photo by GettyImages

同社のチェーン全店売上高は前年を5.8%上回ったが、これは店舗数の増加による影響が大きい。来客数は1.3%落ち込んでおり、単価上昇でカバーすることができなった。このため店舗全体の収益性は悪化している可能性が高い。これに加えて、人手不足対策のために導入した各種設備の投資負担が重くのしかかり、営業利益を圧迫した。

人手不足対策による一時的な支出増は、プラスにも評価できるが、必ずしもそうとは言い切れない。積極的な意味での省力化であれば、将来の増益要因だが、人件費を削減しなければ利益を確保できないという切迫した事情によるものであれば、大幅な増益は期待できないことになる。

残念ながらローソンの場合には後者である可能性が高い。今期(2019年2月期)の決算予想では、セブンは増収増益を見込んでいるものの、ローソンは8.8%の営業減益見込みである。

ローソンは、ファミリーマートとサークルKサンクスの経営統合によって、上位2社に大差を付けられる形で業界3位に転落している。規模のメリットがモノを言うこの業界において、同社が上位2社と互角に張り合うのは難しくなっている。

長期的に見た場合、ローソンは無人店舗を増やし、コンパクトで低コストのコンビニを目指す形にならざるを得ないかもしれない。

編集部からのお知らせ!

関連記事