難関大学合格者急増!富山・奇跡の学校の「頭のいい子の育て方」

開校10年の今年、東大理Ⅲに2名合格
週刊現代 プロフィール

寮は10畳もある個室

2年前からは授業の仕方もドラスティックに変えたという。'20年に向けて「教育改革」がスタートし、大学の入学試験がマークシート式の「大学入試センター試験」に代わって、記述式を取り入れた「大学入学共通テスト」になる。

こうした変化を見据えて、片山学園では「授業改革」に取り組んでいる。授業改革担当で、進路指導部長の森内梨絵氏が解説する。

「これまでの授業では、先生が受験に出てきそうな『おいしいところ』を板書して伝え、生徒たちはそれをノートに写すだけの授業でした。言うならば、主役が先生だった。その授業の主体を生徒に戻すようにしています。

まずは先生がその授業で生徒たちが何を学ぶべきか、課題を設定します。その課題に到達するために、生徒が自分たちの頭で考えるのです。私が教えている国語で、具体的に説明しましょう。

たとえば、評論文の文章構造を図解して、それを説明できるようにするという課題を初めに設定します。従来では先生が黒板に図解を書いて解説し、生徒が学ぶだけでした。それを生徒が自分で図解し、グループで議論する授業に変えたのです。

自分が導き出した答えを友達と比べて、グループで話し合います。そしてグループで一つの解答を採用して、それを説明する。

最後には個人で振り返って、自分が最初に書いた答えと最終的に仕上がった解答の何が違うのかを考え、他人に説明できるようにする。そして次からはどう考えたらいいかを学ぶんです」

こうした授業は'16年度から全科目のすべての授業で導入された。教師が教科書に従って授業を進めていく「昭和の授業」とはまったく異なる。従来とは大幅に異なるやり方に戸惑いもあるが、手応えもある。

森内氏は、「新しく中3になった子は、入学当初からこの授業を受けていますが、成績は右肩上がりです」と胸を張る。

'20年から始まる「大学入学共通テスト」では、知識だけではなく、思考力や判断力、表現力が問われる。片山学園高校の松原肇校長は、そこで片山学園の授業が活きるのではないかと期待する。

「現在行っている新しい授業は、全国的に見ても進んでいると自負しています。こうした授業を受けた生徒をどう評価するか、我々も一生懸命考えて定期テストを作っているのですが、実は昨年11月に行われた『共通テスト』のプレテスト(試行調査)の設問と出題傾向が似ていたんです。

文部科学省は『教育改革』で、21世紀を生きていくために必要な力を学ばせようと考えていますが、それは私たちの思いと同じです。当校の成績上位層は、学びの本質の掴み方がわかってきたのではないでしょうか。だから東大理Ⅲという突き抜けた成績を残すことができた。

学習塾が作った学校ということで、受験テクニックに走っていると色眼鏡で見られますが、私たちは正統派の学びを提供している自負があります。これからの中高生は何をどう学んでいくべきかを追い求めている学校なのです」

 

校舎のすぐ横には、男女とも寮が併設されている。特色はすべての寮生が約10畳もある個室で暮らすこと。親元を離れて生活を自ら律することで、自立心を養う狙いがあるという。

大浴場に加えて、24時間使用可能なシャワールームも完備され、栄養価が計算された食事が「レストラン」で提供される。

片山理事長が寮を作った意図を話す。

「元々、英国の全寮制の名門男子校イートン校のような学校を作りたかったんです。

だから、校舎もイートン校を彷彿とさせるように作りました。

昨年からは1学年100人全員が、そのイートン校のサマースクールコースに行くことになりました。日本ではごく一部、ラ・サール学園とか海陽学園などの名門私立しか提携しておらず、その中に入れてもらったのは大きなニュースですね。

若い頃に異国の地を踏むことが重要なんです。2人一組でホームステイ先に滞在し、英語を話さないと生活ができない環境に身を置く。

カルチャーショックに見舞われ、完全にホームシックになるわけです。それがいいんですよ。人間は追い込まれた状況から、何かをやろうとする勇気が出てくる。そうやって人間が育つわけです」

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イートン校のように全寮制ではないが、生徒の2割は寮で暮らす。そのメリットも大きい。

「寮では仲間たちと夜遅くまで勉強することもあるようですね。寮生以外の生徒はバスで通ってきますが、通学時間がもったいないと入寮する高校生もいます。寮生の友情はとても深まるようです。

寮生に限らずですが、生徒たちは卒業してから片山学園での絆が『特別だった』とわかる。お互いなんでも知っている間柄で、男女で性別を意識しない関係性も出来上がっている。大学に入ってから、卒業生は自分たちで同期会を作っています」(前出・森内氏)