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難関大学合格者急増!富山・奇跡の学校の「頭のいい子の育て方」

開校10年の今年、東大理Ⅲに2名合格

今春の大学受験で、東大理Ⅲへの複数名合格は、全国でも13校しか存在しない。それを田舎の私立が成し遂げた。どんなスパルタ教育が行われているのか?現地を訪れると、そこでは意外にも――。

学習塾が作った中高一貫校

開業3周年を迎えた北陸新幹線を使えば、東京駅から富山駅までは約2時間。そこからローカル線、富山地方鉄道に乗り換え、約30分。いくつもの無人駅を通り過ぎ、上滝駅で降りる。駅前には古い和菓子屋があるだけで、コンビニもない。

タクシーを呼んで10分ほど走り、満開の桜が美しい熊野川を越えると、まだ新しい瀟洒な学び舎が現れた。立山連峰を一望できる風光明媚な場所にある。

そんな地方の私立学校が「快挙」を成し遂げた。富山県にある中高一貫校、片山学園中学校・高等学校(富山市東黒牧)から、大学受験の最難関・東京大学理科Ⅲ類(理Ⅲ=医学部)に2名が合格したのだ。

文科Ⅰ類(法学部)も含めれば、今年の東大合格者は3名だ。その他にも京都大学1名、早稲田大学7名、慶應義塾大学6名など、難関大学にも続々と合格している。

同学園の片山浄見理事長が振り返る。

「そもそも富山県は『私学不毛の地』と言われていて、私学は県立校を落ちた子が行くところと考えられてきました。公立(出身者)にあらずんば、人にあらず――本当にそう言われてきたのです。

富山の場合は、富山中部高校、富山高校、高岡高校の『御三家』が圧倒的に優位に立ち、私学の地位が低い。

そんな固定観念に風穴を開けたいという思いで私立の中学を作ったのが、13年前のことです。1期生が高校生になる'08年に高校を開設。以来、毎年東大合格者を出しています」

元々、片山理事長は富山最大の学習塾「育英センター」を運営していた。だが、学習塾は学校よりも一段下の存在に見られていた。「教育者」を志していた片山理事長にとって、学校を作ることは'77年に塾を開業したときからの悲願だった。

「学校開設にあたって掲げたのが、『東大20名、医学部医学科20名合格』という目標でした。部活のない日は、19時まで夜間特別授業を行って、全国でも屈指の授業時間を確保。

学校の周辺にはコンビニも娯楽施設もありませんから、集中して勉強をするにはもってこいの環境です。学習塾で培ったノウハウを応用して難関大学の合格実績を作り、知名度を上げることが狙いでした。当初は学習塾付きの学校を目指していました」

 

日本一の授業時間を掲げて、塾での指導経験が豊富な教師が夜まで指導にあたる。わからない生徒にはわかるまで徹底的に学習させた。

そんな片山理事長の狙いは、初年度からずばりと当たる。新設校にもかかわらず、1期生から東大や国立大学医学部の合格者を出し、教育関係者からは「富山の奇跡」と讃えられた。

富山県内において片山学園の評判はすでに確立している。こと医学部進学に関して定評があり、医者が子供を入学させることが多いという。

「富山県の場合、『御三家』の県立高校に入らなければ、難関大学の医学部合格は難しかった。『御三家』以外の高校の授業が医学部に入れるような内容になっていない上に、周囲に医学部を目指す生徒がいませんから。

しかし、高校受験に失敗するリスクが高いので、今ではウチの学校が医学部進学のための一つの選択肢となっています。『国立大学の医学部を目指すなら、片山学園に行ったほうが近道だ』というイメージは定着しました」