米中経済戦争で「笑いが止まらない会社」「泣くほどつらい会社」

もし起こったら、こんな影響が
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SUBARUを狙い撃ち

今回の貿易戦争では、日本自体がターゲットにされていることも忘れてはいけない。米政府は米通商拡大法232条にもとづいて、鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を発動したが、日本は中国と同様にその制裁対象。

当然、新日鐵住金、JFEHDなど鉄鋼大手には打撃必至と懸念されるが、じつはそれは杞憂だ。

「日本がアメリカに輸出している鉄鋼製品の内訳を見ると、自動車用線材や鉄道用レールなどが並んでいます。

いずれも日本でしか製造できない高品質品ばかりなので、仮に関税をかけられても、輸入規制で品薄となっても、その製品がなくて困るのはアメリカ側となる。

これからアメリカ政府は産業界の要望に応じて製品別に適用除外製品を選定する予定ですが、多くの日本製品が適用除外となる可能性があります。結果的に『メイド・イン・ジャパン』の存在価値があらためて評価される機会になる」(武者リサーチ代表の武者陵司氏)

 

もちろん、米政府側もそうした事情はわかったうえで、日本に対して別の要求を吹っかけてくる公算大。特にターゲットにされそうなのが、日本の自動車メーカーだ。

「日本の対米貿易黒字7兆~8兆円のうち、自動車が4兆円超と大部分を占めているので、真っ先に槍玉にあげられるでしょう。特に狙い撃ちされそうなのがSUBARU。

国内生産比率がすでに2割を切るホンダなどとは違って、SUBARUは販売の7割がアメリカに依存しているうえ、国内生産比率が7割近いからです。

ほかには、アイシン精機、曙ブレーキなどの部品メーカーも標的になる可能性がある。結果として日本の自動車産業の国内生産分がアメリカに切り替わってしまえば、国内の工場で失業者が出たり、場合によっては工場閉鎖という事態もあり得る」(経済評論家の加谷珪一氏)

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自動車と同様、標的となるのが農産品。アメリカからの輸出品の関税引き下げを求めてくるシナリオが予想されている。

「アメリカが関税引き下げを要求してくるのは牛肉でしょう。昨年8月、アメリカから日本に輸出される牛肉量が規定量を超えてセーフガード(制限措置)が発動された際、アメリカの業界団体から批判の声があがっていた背景がある。

現在、アメリカからの牛肉には約40%の関税がかかるが、これが引き下げられると日本の畜産業界には大打撃です。一方、米国産牛肉を使用する日本マクドナルドHD、吉野家HDなどには輸入コストの削減で、業績押し上げ要因になる」(楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之氏)

笑う会社もあれば、泣く会社もある。ニッポン全体がトランプ大統領と習近平国家主席の一挙手一投足に翻弄される「嫌な季節」が幕を開けた。

「週刊現代」2018年4月21日号より