開業医の知られざる真実…あなたのクリニック選び、それで大丈夫?

かしこい患者になるために(2)
杉田 玲夢 プロフィール

医療の「知識」は文献から得られますが、「手技・技術」は実際に人から学ぶ必要があります。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」ではありませんが、「手技・技術」を身につけるには、実際にその手技を人がやっているのを見て、指導者の監督・補助のもとで自分でやってみて、最後に自分一人だけでやってみなければなりません。

すぐそばに教えを請えるような人がいないと、最先端の手技・技術はなかなか身につかないのです。

これも勤務医の場合には、同じ診療科の医師もすぐそばにいて、互いに教えあえるので、学びやすい環境です。クリニックでは、1人の患者さんを複数の医師で見る機会が基本的にないので、新たな手技・技術を身につけるハードルが一気に上がってしまいます。

このような環境の違いから、クリニックの医師は相当な努力をし続けないと、新しい知識も技術も得られません。そのため残念ながら、最新の治療ではなく、一昔前の治療法を続けている開業医も少なくないと思われます。

誤解のないように申し添えれば、古い治療だからすべて間違っているということではありません。ここで言いたいのは、治療の「選択肢」が減ってしまっている場合があるということです。

 

薬が過剰になる可能性も

クリニックを選ばないと、他にもデメリットがあります。

例えばこんなケースを想像してみてください。

「先生、微熱があって、喉がいたいんです」

「いつからですか?」

「3日前ぐらいからです」

「他になにか辛いところはありますか?」

「特にないです、とにかく喉の痛みが一番辛いです」

「ただの風邪かもしれないし、扁桃炎かもしれないから、風邪薬と抗生剤を両方出しておきますね」

風邪に抗生剤は効きません。それでも、「念のため」ということで両方の薬を処方される。皆さんも経験があるのではないでしょうか。

もしも単なる風邪であったら、抗生剤に耐性を持った菌が体内で出てきてしまってむしろよろしくないのですが、実際に多くのクリニックで行われています。

なぜクリニックでは抗生剤に限らず多くの薬が処方されるのか。

〔PHOTO〕iStock

その理由は、そもそも患者さんの訴えを聞く診察だけでは確定診断できないことのほうが多いからです。そのため、疑わしい病気に幅広く対応できるように多めに薬を処方することになります。

同時に、多くの薬を出したほうが患者さんも喜ぶという事情もあります。なかには抗生剤を出してくれる先生は優しいと誤解している患者さんもいます。患者さんをできるだけ引き止めたい開業医としては、患者さんの希望にそった処方になってしまうことがあります。

結果として、薬が過剰になり、必要のない薬のために支払う医療費が増え、副作用のリスクが上がることもありうるのです。