ひとり親家庭が入学シーズンに直面する、ある死活問題

過去には母子家庭の無理心中未遂も…
赤石 千衣子 プロフィール

お祝い金を受け取った世帯100万円以下の年収が3割

こうして始まったひとり親向けの入学お祝金事業は今年、520人以上の子どもたちの世帯から申込みがあった。

関東圏を中心に全国から申込みがあり、昨年は自治体の窓口で紹介されたという方が多かった。その経済状況は非常に厳しいもので、給与収入が100万円以下の世帯が約30%だった。

本当はすべての子どもたちを支援したいが、寄付いただいた限られた予算のため、所得証明を出していただき、選考委員会を開き、所得に加えて多子であることや、障害をもっていることなど困難状況を考慮して選考、今年は351人の子どもたちを選び子ども1人に3万円を送金した。

また落選のお子さんにも入学おめでとうの気持ちで図書カードを送った。

総額で1000万円を超える資金を支えたのは、全国の寄付者のみなさんである。

今年度届いた封筒

新品の制服が買える!

応募者は必死の思いを書きつづる。

「高校受験で娘は県立高校1本で私立のすべり止めもとらずに私の低収入の中、がんばっています。入学準備の制服代を何とかしたいです。公立も20万は必要だと言われ、日々、何とか工面しています。よろしくお願いします。新しい制服を着せてやりたい思いですがりました」

この応募者は入学お祝金を無事に受給できることになったときに「本当に、本当に、ありがとうございます!!見ず知らずの方に、こうして助けて頂けるとは夢にも思わず暮らして参りました。高校進学を控え、娘と二人、入学納入金 制服代 教科書 ジャージ 上履き その他の高校からの手紙を見て、頭を抱えておりました。何とかしなければ、とパートを増やして頑張る日々ですが、なかなか生活もギリギリカツカツ。本日、贈呈の手紙を頂き、娘と手を取り喜びました!新品の制服が買える! 娘が、喜ぶ姿は親として皆様に頭を下げて御礼を申し上げたい気持ちです」とお礼のことばを伝えてきた。

 

昨年の入学お祝金受給後のアンケート調査では、このお祝金がなかったらどうしていたか、という質問に「預貯金を取り崩す」のほかに、「食費を節約する」「働く時間を増やす」「親族からの援助」などとともに「どうしていいかわからなかった」「サラ金やカードローンを借りる」があったことも特記しておきたい。

子どもの受験期に親が居酒屋で働いて学費を出す、そういう母子がいる。あるいは食べ盛りなのに食費を削って、削って、入学時の準備をする家庭があるのだ。

実際、4月以降も食品援助の申込みが増える傾向にある。

進む就学援助制度の入学前支給

本来、教育費は義務教育までは無償である。

しかし、文部科学省の「子供の学習費調査」をみても、公立小学校で年間32万2000円、公立中学校で47万9000円、公立高校では45万1000円の学習費がかかる。

これだけの学習費を子どもにかけられない家庭があることは十分にありうる。

ひとり親家庭の平均就労年収は、母子世帯で200万円、父子世帯で398万円なのである。母子家庭の母の平均就労年収の4分の1が学習費の平均なのである。

国の就学援助制度は、学校教育法第19条において、「経済的理由によって,就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」とされている。

生活保護受給家庭の子どもとそれに準ずる程度に困窮していると認める世帯の子どもに新入学児童生徒学用品費等や、給食費、学用品費、修学旅行費などを援助することになっているが、認定基準は各市町村に任せられている。

この就学援助制度は、最近まで、入学後に新入学児童生徒学用品費等の支援を行ってきた。入学後に手続きを行い、6月や7月に入ってから支給する自治体が多く、「本当に苦しいときに役に立たない」という声が聞こえてきていたのである。