2018.04.18

東京五輪前に「世界同時不況」がやってくる理由

「借金バブル」の引き金をひくのはどこか
中原 圭介 プロフィール

借金を借金とも思わない国民性

アメリカの個人消費を伸ばしたふたつめの要因には、史上最低の水準で推移する低金利があげられます。

モノをローンで買うのが一般的なアメリカ国民にとって、金利が上がるというのはローンの支払総額(借金)が増えることを意味します。とくに自動車や住宅のように大きな買い物をする場合、ローン金利が上がる前に買っておきたいと考えるのは、人間の心理として万国共通のことでしょう。

アメリカ人は「借金」のことを「レバレッジ」という言葉で表現しています。レバレッジという言葉は、日本人のいう借金とは少し意味合いが異なり、手持ちの資金の何倍もの力で行える取引のことを指しますので、いかにも前向きな感じがします。

彼らは借金をレバレッジと捉えることによって、借金を大胆にできる、あるいは借金を借金とも思わないような国民性があるのでしょう。

住宅バブルが崩壊する以前、アメリカの家計では住宅を全額借金で購入し、その住宅を担保に再び借金をして自動車をはじめ、様々なモノを購入するという消費パターンが一般的でした。

さすがにバブル崩壊後は、アメリカの家計も借金返済を優先しなければならない時期もありましたが、今となっては史上最低の金利水準が家計の借金依存に再び拍車をかける状況になっているのです。

ですから、住宅バブル時の勢いはないとしても、アメリカの消費はこれからも増加し続けるだろうと見られています。

2018年1月に公表されたIMFの経済見通しでは、2017年の世界経済の成長率を3.7%と前回の見通し(2017年10月)から上方修正し、2018年と2019年の成長率も3.9%まで高まっていくだろうと予測しています。

こうした経済予測が強い後押しとなり、実に多くの専門家たちが世界経済の拡大基調は変わらないという見解を堅持し続けているのです。

 

リーマン・ショック時を上回るアメリカ人のローン

しかしながら、私が現状をどのように認識しているかというと、2020年くらいまでの世界経済の先行きを考えた時に、好況から不況に転じる本質的な問題が、経済の深層部で不均衡として蓄積していて、いつ激震が起きてもおかしくない状況にあると考えます。

具体的にはどういうことかというと、リーマン・ショック後の世界的な金融緩和を通して、先進国・新興国を問わず世界中の人々の借金が増えすぎてしまっている事実を重く見るべきなのです。

まずその筆頭として挙げたいのが、アメリカの家計債務です(図表参照)。ニューヨーク連邦準備銀行の調査によれば、アメリカの家計債務は2017年12月末時点で13兆1000億ドル(当時のドル円相場で換算すると約1410兆円)にまで膨らんでしまっているということです。

2017年3月末に12兆7300億ドルにまで膨らみ、サブプライムローン問題やリーマン・ショックが引き金となって世界金融危機が起こった2008年9月末の12兆6800億ドルを上回って以来、過去最高の水準を更新し続けているのです。

世界金融危機の発端となった住宅ローンがピーク時の残高に接近しているのに加えて、自動車ローン、クレジットカードローン、学生ローンなどが増え続けていて、中間層以下の世帯では2014年以降、借金に借金を重ねる消費が横行しているという現状が見て取れるというわけです。

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