安倍首相は本当に「陸自の日報隠し」を知らなかったのか

これで文民統制ができるとはとても…

止まらない「隠蔽の連鎖」

次から次へと、まるで「打出の小槌」のように日報が出てきている。

昨年、防衛省が当初は「廃棄済で存在しない」と言っていた南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊の日報が、後に出てきて大きな問題になった。防衛監察本部の特別防衛監察の結果、陸上自衛隊がこれを組織的に隠蔽していたことが明らかになり、関係者は処分された。

そして今回、昨年2月に当時の稲田朋美防衛大臣が不存在と国会答弁していたイラク復興支援活動の日報も、陸上自衛隊の複数の部署で保管されていたことが判明した。さらに、カンボジア、ゴラン高原、東ティモール、ハイチといった歴代PKOの日報の存在も明らかになった。

私は2016年9月に南スーダンPKOの日報を情報公開請求した。これに対して防衛省は同年12月、日報は「既に廃棄して不存在」という決定を行った。決定通知を読んで、私はすぐさま隠蔽を疑った。なぜなら、海外派遣部隊の日報がこんな短期間に廃棄されるはずがないからである。

日報とはそもそも、報告が完了したらすぐに廃棄するような軽い文書ではなく、過去の活動からさまざまな教訓を引き出して将来の活動に生かすために不可欠な一次資料として長く保管すべき性格の文書である。だから、今回、続々と過去の海外派遣の日報の存在が確認されているのは、何ら驚くことではなく、むしろ当然のことだと言える。

 

海外でのオペレーションの一次的記録である日報を保管するというのは、いわば「軍事の常識」である。仮に私が防衛大臣あるいは総理大臣だとして、陸上自衛隊が海外派遣部隊の日報を廃棄したと言っていることを知ったら、「そんなわけないだろう。すぐに探して持ってこい」と指示し、見つかるまで探させるだろう。

もし、昨年1月の段階で稲田防衛大臣や安倍首相がそうしていれば、南スーダン日報とイラク日報をめぐるその後の「隠蔽の連鎖」は起きていなかった。南スーダン日報は廃棄されている、と嘘をついたことで、10年以上前に活動が終了しているイラク派遣の日報も廃棄されている、と嘘を重ねる羽目になったのである。

その意味で、初動で「文民統制」を機能させることができなかった当時の稲田防衛大臣と安倍首相の責任は重い。

安倍首相は4月9日の参院決算委員会で、国会で不存在と説明してきたイラク日報が見つかった問題について、「防衛省・自衛隊の情報公開、文書管理の問題のみならず、シビリアンコントロール(文民統制)にもかかわりかねない重大な問題であり、極めて遺憾だ。自衛隊の最高指揮官として、また行政府の長として国民に深くおわびしたい」と陳謝した。 

自衛隊の日報をめぐる一連の問題において、自衛隊の最高指揮官である安倍首相には、どのような責任があるのだろうか。そのことを考えるために、2016年12月に南スーダン日報隠蔽疑惑が浮上して以降、安倍首相がどのような役割を果たしてきたかを具体的に検証してみたい。