講談社ブルーバックスより刊行された『不妊治療を考えたら読む本』がご好評をいただいております。本書が注目されている理由のひとつには、これまで一般にはほとんど伝えられてこなかった「不妊治療の真実」が解説されている点も大きいのではないかと思います。ここで、本書の中から、そんな最新の不妊治療のトピックスを少しご紹介しましょう。
みなさんは、日本が「不妊治療の後進国」だということをご存じでしたか?
晩婚化に伴って、不妊治療を受ける人は年々増えています。いまやカップルの6組に1組が不妊に悩んでいて、日本産科婦人科学会が発表したデータによると、2014年には体外受精や顕微授精の実施件数は累計で39万件を超えたそうです。
日本では、1983年に体外受精で初めて子供が生まれて以来、国内の体外受精児は累計で50万人を突破しています。なんと、17人に1人は体外受精で生まれている計算になるのです(2018年9月12日「読売新聞」)。
日本は、世界でいちばん「不妊治療で出産できない国」だった!
それなのに、「不妊治療の後進国」とはどういうことなのでしょうか。
日本は、体外受精の実施件数が世界一多いのに、1回の採卵あたりの出産率は世界最下位。じつは日本は「不妊治療で出産できない国、世界1位」だったのです。こちらのグラフをみると、そのことがよくわかります。

日本は、体外受精の実施件数が世界一ですが、

体外受精での出産率は世界最下位です!
これは、世界各国の生殖補助医療の実施状況をモニタリングしている組織「国際生殖補助医療監視委員会〈ICMART〉」が世界60ヵ国を調査し、2016年に発表したレポートに基づくデータです。
日本は、体外受精の実施件数が他国に比べてきわめて多いのに、それが出産に結びついていないということがよくわかっていただけるのではないでしょうか。
治療をしても妊娠できない理由
いったい、なぜこのような事態となっているのでしょうか?
日本の技術力が劣っているわけではありません。