サラリーマンの体力が「30代に入ってガタッと低下する」医学的理由

ちゃんと説明できるんです
梶本 修身 プロフィール

徹夜が平気な人、要注意

徹夜仕事に関して言えば、1日24時間というリズムを毎日正確に刻まないとすぐに疲れてしまう人と、そうでない人がいます。

そもそも「1日=24時間」というのは、便宜上そう決められているにすぎません。人間にとって自然な1日の長さは、「24時間と10分」と言われています。

しかも、これは個人差がかなりあるようで、私の場合は「1日25〜26時間」と考えたほうが、むしろ快適に過ごせます。夜の12時や1時になってもほとんど眠くならないのです。

つまり私のようなタイプは、若い時から自然に夜更かしの習慣がついてしまうため、大人になって徹夜の仕事を強いられても、さほど疲れを感じることなく対応できるわけです。一種のトレーニングを、若い時から知らず知らず積み重ねていると言ってもいいかもしれません。これが「夜型人間」の正体です。

 

こうした「夜型」であることは、受験勉強などの局面では少なからず役立つかもしれませんが、だからといって、一生トクをするとは限りません。

若い間は体力もありますから、多少無理をしても大きな問題にはなりません。しかし45〜50歳あたりから、状況が一変します。体力的に無理が利かなくなっているにもかかわらず、若いときと同じように頑張って、身体に大きな負担をかけてしまう。ほとんど自覚や前触れがないまま、いきなり過労で倒れる人がいますが、そうした人は実はこのような「夜型人間」であるケースが多いのです。

昔は歳をとると社会的責任から早々に解放され、ゆっくり寝坊できる身分になれたものですが、現代の50歳前後は、会社などでむしろ最も大きな責任を負わされる年代ですから、かえって睡眠時間が少なくなってしまいます。睡眠時間が短くなれば、当然疲れも解消しません。

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こうして疲れが積もり積もって、最終的に生活習慣病のリスクを高めることになるわけです。特に注意が必要なのが、糖尿病や高血圧。結果として寿命が短くなり、過労死を起こしやすくなります。

「疲れにくい」「疲れを感じない」という体質も、決して喜ばしいことばかりではないのです。

「人生50年」は、もっともだ

自律神経の機能は、歳をとるごとに衰えていきます。

「疲れにくい人」「ストレスを感じづらい人」は「自律神経の能力が高い人」であると説明しました。しかしそのような人も、加齢に逆らうことはできません。しかも、自律神経の機能低下は、ある年齢を境に一気に起きることがわかっているのです。

具体的には、個人差はあるものの、60歳時点の自律神経のパワーは20歳のときの4分の1に落ちると言われています。これは、自然界であれば生存が危うくなるレベルです。「生物としての人間の適正な寿命は50歳である」という説がありますが、自律神経の衰えの度合いから言えば、もっともな話といえます。

日本人は、いまでこそ世界的にも長寿の国民となりましたが、大正時代あたりまでの平均寿命はおよそ50歳でした。現在では男女ともに平均寿命が80歳を超え、このままいけば100才に達するとも言われています。

しかし「人間が自然環境の中にいきなり放り出されても、なんとか生存できる年齢」が、50歳前後であることは変わらないのです。