やっぱりサラリーマンは退職金で小さな会社を買いなさい

大廃業時代の今だからこそ
三戸 政和 プロフィール

「サラリーマン後継者」が日本を救う

この状況を解決するために、中小企業のM&A仲介の最大手「日本M&Aセンター」は、2018年2月、日本政策銀行と共同で、事業承継ファンドを約50億円(この後、地方銀行などからの出資も募り100億円ほどを計画)で立ち上げた。同社の株価は右肩上がりで、時価総額6000億円に達した。PER(株価収益率)は70倍と、インターネット企業を凌駕する評価となっている。

PERは、将来の収益に対して投資家がどの程度を期待しているかを示す指標であり、企業の成長性に対する期待値を図る一番の指標である。ソフトバンクは6倍、楽天は11倍、DeNAが12倍で、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイでも44倍だから、驚異の期待値であることがわかるだろう。

ちなみに、中小企業のM&A仲介会社は3社が上場しているが、平均PERは69.42となっており、筆者の周りにも、いくつか上場を目指しているM&A仲介会社が存在している。「事業承継」はこれほどまでに成長性のある市場として認められているのだ。

 

M&Aの情報は、インターネットでも見られることは以前も紹介したが、四大監査法人のひとつであるトーマツ監査法人は、中小企業のM&A情報のインターネット上の流通ニーズを見越して、2017年12月に株式会社ディスコが運営するマッチングサイト『M&A+(プラス)』事業を譲り受け、トーマツブランドで運営を開始している。

また、日本M&Aセンターも「&Biz」というサービスを2017年に公開、鼻の効く他業種のベンチャー企業からも参入が始まっている。転職サイト「ビズリーチ」は、「ビズリーチ・サクシード」という形で事業譲渡のマッチングサイトを2017年11月にローンチした。

また、昨年上場したビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは、2017 年10月に、横浜信用金庫と中小企業の後継者問題を解決するための業務提携をおこなった。

これらの先行者が、株式会社アストラッドの運営する「TRANBI(トランビ)」だが、年間のマッチング数が2,000件を超え、年次グラフを見れば、指数関数的に増加しはじめていることが分かる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000027440.html

国の方でも事業承継への対応が進んでいっている。経済産業省では2017年度予算が2億円程度だった「事業承継補助金」を、517件の応募があったものの65件の採択しかできなかったという反省を踏まえ、50億円の追加補正予算を組んでこれに対応した。この補助金を事業承継の際に利用すれば、200万円を上限に補助を受けることができる。

また、税制面でも大きなサポートが進んでおり、事業承継の際の問題点であった、承継に関する相続税や贈与税がゼロ(各種要件あり)になる「事業承継税制の特例の創設等」が政府与党によって公表された。

もうお分かりだろう。「大廃業時代」は目の前にある日本の危機である。そして、それを救うためには、「サラリーマン後継者」が必要なのだ。

自分も、会社を買って社長になりたい! そう思う人が一人でも増えてほしいのだが、本当に動き出そうと思っている人にとっては、この数年が一番大切な時期となるだろう。ぜひ、拙著「300万円~」を読んで、この大海に乗り出し、新しいビジネスキャリアを歩んでほしい。

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