小説が売れない時代に「6500部→100万部超」大ヒット作の軌跡

小説を売るためのストーリーが必要だ
田中 裕士 プロフィール

もう1本、ちょっと変わった動画を作製した。

ピアノメーカーの河合楽器にお願いして、プロの調律師に『羊と鋼の森』を読んでいただいた。

河合楽器では、全国の調律師の研修を行なうベテランと、ショパン国際ピアノコンクールでピアノの調律にあたるスペシャリストの2人をご紹介してくださった。

おふたりの評価が高かったことに加えて、プロの調律師だからこその表現が作品の評価により説得力を与えていた。

ヤマハにはそれより前に、ヤマハ銀座店の書籍売り場でご協力をいただいていた。『羊と鋼の森』に限らず調律師の関係する本のリストをお持ちして、売り場に特集コーナーを作っていただいたのだ。その様子をさらにTwitterで拡散した。

ヤマハミュージックメディアが刊行する雑誌「月刊ピアノ」の書評欄やプレゼント欄でもご紹介いただいた。

また、これは私のグリップ力不足で最終的には実現しなかったのだが、ある著名な音楽ホールで調律師を招いたコンサートを開催しようとかなり具体的なところまで相談が進んだことがある。

小説のファンだけでなく、ピアノやクラシック音楽のファンにもこの小説を読んでいただきたかった。

 

小説を売るためのストーリーが必要

小説(ストーリー)を売るためには、そのためのストーリーが必要だ。

本屋大賞受賞後もあの手この手で話題を欠かさないようにと腐心した『羊と鋼の森』は今年2月に文庫版が発売になり、驚くほど高い初速を見せている。

翌月には5刷が決定し、累計発行部数50万部、単行本とあわせて100万部超のベストセラーとなった。

6月8日に公開になる映画の主演、山﨑賢人さんの写真を使ったオビのインパクトは強力だ。『羊と鋼の森』がさらに多くの人に届くよう知恵を絞りたい。