小説が売れない時代に「6500部→100万部超」大ヒット作の軌跡

小説を売るためのストーリーが必要だ
田中 裕士 プロフィール

記念Tシャツの大事な役割

まずは、本屋大賞発表の日である。

その日に向けて、記念のTシャツを用意した。本屋大賞の発表会場に集まった書店員さんに2枚ずつお持ち帰りいただく。1枚はお店の飾り付け用に、もう1枚はご自分用に。

こんなお祭り騒ぎは疎外感を感じる人がいると良くないので、長身の書店員の顔を思い浮かべながらLサイズも作製。2次会の席では皆がTシャツに袖を通し、書店員さんたちの団結心はさらに強まったことは言うまでもない。

宮下奈都さんの受賞シーンと挨拶も後日YouTubeにアップして、会場にこられなかった全国の書店員さんにも見ていただけるようにした。

 

ところでこのTシャツは読者への感想募集のプレゼントなどにも使うことになるのだが、もうひとつ大事な役割があった。

本屋大賞は、毎年テレビにニュースとして扱われるが、その際にカメラが入る書店を調べ、受賞決定の瞬間に着替えてくださるようお願いすることだ。これによって店頭の話題が増えれば、ニュースの尺が少しでも伸びるのではないか、と期待してのことだった。

狙いは当たり、複数の番組で本屋大賞の話題にTシャツ着替えの場面を織り込んでいた。

宮下奈都さんへの取材依頼も殺到した。

取材対応や書店まわりのために、福井から北陸新幹線に乗って何度も東京やその他の地方に足を運んでくださった著者のご協力にも頭がさがる思いがした。

その後、NHKの「あさイチ」では、有働由美子アナが出張して、宮下さんのご自宅で長時間ロケを行なってくださった。

本を読まない人に届けるには

芥川賞・直木賞と同じで賞を受賞すると購読者層が一気に広がる。

小説の内容を普段は本を読まない人にも知っていただくため、また書店店頭でのDVDとしても活用していただくため、映画の予告編のような動画も作った。

これはとても評判が良かったので、出来れば見ていただきたい。