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「死」が興奮材料って…「泣くまでボコられて初恋をした」漫画家が深く落ち込んだ瞬間

それでも自分の股間の味方でいたい
山本 ぽてと プロフィール

他人のせいにしていい

――『ボコ恋』は、受け入れがたい自分との共存を模索していく漫画なんですね。

ぺス山:ひとつ、今のところ『ボコ恋』には描ききれなかったのですが、言っておきたいことがあります。

漫画の中では、私が自分を責めている描写が多いんです。でも、私は一回他人のせいにしてます。だって世の中に「自分だけのせい」なんてことはありえない。みんな一緒に生きているんだから。私が変な性癖なのも、環境が影響していると思うんです。

そこまで考えて、いったん他人のせいにしてから「私だけのせいにしておこう」という結論になっています。だから、『ボコ恋』を読んで「自分のせいだと思ったほうがかっこいい」と思いすぎないようにしてほしい。

 

――「自分だけのせい」として描くのはなぜなんですか?

ぺス山:打算的な部分はありますね。世の中のマジョリティは「自分のせいにしたほうがいい」信仰なのだと私は思っています。だからそっちに合わせているんです。

自分を責めている描写を入れたほうが同情されやすいし、読みやすいんじゃないか。「他人のせいにしてなくていい」とポジティブに受け取ってもらえる可能性が高い。バッシングもされないだろうと。

でも何度も言いますが、私はいったん他人のせいにしています!3、4歳のときの欲望なんで、「他人のせい」感が弱いんですけど、「親が冷たかったからだ」とか「小さい頃に近所の人にいじめられたせい」とか、他人のせいにしていますよ。得意の屁理屈で。

――得意の屁理屈(笑)

編集者S:ぺス山さんは自罰的になりやすいから、あえて他人のせいにしているんでしょうね。

ぺス山:そうですね。たぶん世の中には、他人のせいにあまりしたことがない人たちと、他人のせいにしてバランスよく生きてきた人たちがいる。

後者の人たちが「他人のせいにしたい」と聞いたら、「大っぴらに言うんじゃないよ」とムカついてしまう。だから、バッシングが起きたりするのかもしれません。

でもずっと自罰的で、「あなただけのせいじゃないと」言われずに生きてきた人たちっているんですよ。その人たちが「他人のせいにできるんだ!」と考えたとしたら、それはすごいことが起きているんだと思うんです。私はすごい成長の第一歩だと思う。そこはちょっと強調しておきたい。

他人のせいにするけど、恨まない。ずっと憎んでしまうと、他人のせい連鎖が起こってしまう可能性があるので。怒るけど、憎まない。そんな方法があってもいいんじゃないか。残りの回で、このことについても描いていければいいなと思っています。