中国のホストクラブで豪遊する「富裕層マダム」桁違いのマネー力

実際にホストクラブで働いてみたら…
西谷 格 プロフィール

大麻に警察…ホストクラブの内部

1時間ほど踊って一息ついた頃、ルルはソファに戻り、バッグの中から細巻きの手巻きタバコのようなものを取り出した。火を点けて紫煙を吐き出すと、うっとりと恍惚の表情を浮かべ、周囲には芝生を燃やしたような青臭い不思議な臭気が漂った。

タバコではなくドラッグの一種に違いない。ルルが点火したフィルターは何人かのホストで回された。私も「吸うかい?」と聞かれたが、「いや、やめておく」と答えた。無理強いはされなったものの、なんだか恐い世界である。

その後しばらく雑談やカラオケをしていたが、ルルが大麻を吸い終えて30分ほど経った頃、再びドアが激しい勢いで開き、屈強な男2人が懐中電灯を持って室内に入って来た。

カラオケや雑談を楽しんでいると…

見ると、「警察 POLICE」と書かれたビブスを着用している。即座に部屋の電灯が明るく点灯され、音楽の音量は最小限に絞られた。一同シーンとしてじっと動かずにいる。警官たちは15秒ほどかけて部屋全体をじっくり見渡すと「あまりうるさくするなよ!」とだけ言い残して再びドアをバタンと乱暴に閉め、去って行った。抜き打ちチェックが入ったのだ。

ドアが閉まった途端、ルルがひどくおびえ始めた。友人やホストたちが「どうしたの? 大丈夫だよ」となだめていたが、ルルは自分のカバンのなかをガサゴソといじったり、周囲をキョロキョロ見渡したりして情緒不安定になっている。

仕舞いには「音楽を止めて!」とわめき始め、「私が止めろと言っているの! 私の命令よ!」と言い放った。困った顔をしたリーダーがボーイに指示し、BGMのスイッチを切った。場が完全にしらけ、重苦しいムードが漂う。

 

が、すぐにリーダーが雑談で場をつなぐと、今度はルルの友人の40代女性のケータイが鳴り始めた。女性がシーッと指を立てるとその場の全員が息を殺して黙り込み、スピーカーモードで電話に出た。

「あらアナタ、私は今家よ。今日はアナタのために新しいブラジャー買って来たのよ」

「ブラジャーって、俺が着るのか?」

「そうよ、アナタのブラジャーよ。ほっほっほ」

他愛ない冗談まじりの雑談だが、妻が若い男たちと遊んでいることなど露知らず、電話の向こうの夫は上機嫌で笑っていた。あとで聞いたところ、彼女の夫は共産党の幹部だという。