障害ある息子のために父が始めた「胡蝶蘭ビジネス」驚きの成果

目指すは障害者の年収10倍
なかの かおり プロフィール

胡蝶蘭は確かな市場

なぜ胡蝶蘭だったのか。那部さんが会社を始めたころ、社員を3人から150人に増やしてオフィスも広げた。そうすると取引先から胡蝶蘭が贈られ、必ずお返しをする文化を知った。生花はディスカウントなし。知的障害のある人は働く場所がないし、あっても収入が低い。胡蝶蘭を売ろうとひらめいた。

 

「胡蝶蘭のマーケットは年間250~300億円。知的障害者は能力があるにもかかわらず、1ヵ月働いても月の工賃は平均で約1万5千円。障害者年金の約9万円を加えても生活保護に届かない。200坪の温室をフルで使えば、年間2万本の胡蝶蘭を出荷できる。物流コストはかかるものの、売れれば2億円。障害者に月々10万円を払えます」(那部さん)

年間必ず贈り贈られている胡蝶蘭なら、市場があると思ったという那部さん 撮影/なかのかおり

まず販路を見つけてから

それでも那部さんは、すぐには働く現場作りに動き出さなかった。「作って売りましょうと、すぐに動いて失敗してしまう福祉法人が見受けられます。最初にどこで売るか、出口を見つけてから動かないとダメだと思いました」

ビジネス出身なので、まず販路の開拓を考えた。胡蝶蘭を作っている会社を調べると、ある大企業の特例子会社(障害者の雇用を促進するための子会社)が手がけていた。その指導をしている「アートグリーン」という会社を紹介された。アロンアロンは、この特例子会社の胡蝶蘭を仕入れて売るように。配送は全国に物流センターを持つアートグリーンと組んだ。他は個人的に、取引先を増やしていった。

ビジネスとして成り立つには、販路ありきです。このやり方に反対もありました。まだ温室を作っていないのにと。でも売る土台を作ってあったので、障害者が働くようになって最初の月から充分な工賃を払うことができました」