2018年2月14日、フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で銃乱射事件が起こり、生徒や教職員17人が死亡する惨事となった。
そして3月24日、その学校の生徒が中心となって企画した「命のための行進」が全米で実行された。
この行進はオプラ・ウィンフリーやジョージ・クルーニーら著名人が資金提供したことでも注目されたが、何よりも、連邦議会に対して銃規制を求める人々が総勢100万人規模で集まったことは注目に値するだろう。
ちなみに、行進後、事件で生き残った生徒たちに対して、NRAの幹部でロックミュージシャンのテッド・ニュージェントが「嘘つき」で「思考が混乱し」、「気迫がない」とラジオ番組で批判したり、NRAのケーブルテレビ番組(NRATV)の司会者であるコリン・ノアールが「もし学友が生きていたら君たちの名前なんて誰も知らないだろうね」と発言したりしたことを聞いた方もおられるかもしれない。
ワシントン・ポスト紙の分析によれば、学校で銃が原因で死亡した人は1999年以降でもおよそ200人に及び、12年生(日本の高校3年生)までの生徒は、少なくとも193の学校で、延べ18万7000人以上が学校の時間中に銃の発射事件に遭遇しているという。
これらの事件は主に都市の相対的に貧困な地域で発生しており、中南米系の場合は約2倍、黒人の場合は約3倍の割合で、白人の生徒よりも学校で銃に関連する事件を経験している。
これらのデータを見ると、今回の乱射事件は、事件そのものとしては従来とさほど違わないといえるかもしれない。
だが、事件以後の展開がこれまでと異なるところがあり、これを機に、アメリカの銃規制が進むのではないかという声が一部にある。
果たして、アメリカの銃規制はこれを機に進むのだろうか?
今回の事件後の展開は、これまでと異なる点がいくつも存在する。
第一に、銃規制を求めて展開されている運動の規模が、これまでとは比べ物にならないことが指摘できる。今回は18歳未満で選挙権を持たない子どもたちが中心となって運動を組織・展開していることも新しいといえるだろう。
第二に、民間部門を中心に銃規制を推進する動きが強くみられている。例えば、ディックス・スポーティング・グッズ、クローガー、ウォルマートなどのチェーンストアが銃販売について独自の規制を行うことを決定した。
これらの店は、21歳未満の人に対する銃の販売をやめた。また、デルタ航空やユナイテッド航空は、銃規制に反対の立場をとる全米ライフル協会(NRA)の会員に対する値引き価格の設定を取りやめると決定した。