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急増「スト女(ストリップ女子)」の実態~劇場で号泣する女たち

ショーの中身も昔と全然違う

「スト女」という言葉がある。「ストリップにハマっている女子」を指す略語で、ここ数年、このスト女が増えてきているらしい。

そう、何を隠そう私自身、去年の暮れ辺りからすっかりとストリップの世界の虜になり、ご多分に漏れずこのスト女になってしまったのだ……。

ただし、彼女たちをひとまとめにスト女と言ったところで、実はまだ、未知の生物のように生態はよく分かっていない。だから、スト女1年生である私が、ノンフィクションライターという職業柄、少しばかり探ってみることにした。

 

洗練された舞台に思わず涙

私が最初に出会ったスト女は、ストリップ通い歴3年になる小野幸子さん(34歳・独身)。TwitterのDMでストリップの感想をやり取りするうちに、「浅草ロック座公演にご一緒にどうですか」と誘われて観に行くことになった。

その日は、2月の新春公演「Girl Talk 2nd」が始まったばかりだった。キャッチコピーは、「エロかっこいい博覧会」(!)。

待ち合わせ場所に現れた幸子さんは、オタク系の地味な感じの女性で、想像していたよりも落ち着いた淑女だった。

幕が上がると、幸子さんは「来た来た~!」と身を乗り出し、缶チューハイ片手に舞台に釘付けに。特に幸子さんイチオシの踊り子、矢沢ようこさんの出番になると、一気にテンションが高くなったようで、両目からボロボロと涙を流し呆然としていた。

矢沢ようこさんの「景」(一つの幕を分割した単位のことで、順に一景、二景という言い方をする)は、和風テイストの寸劇を交えたもの。

冒頭、桜吹雪を模したおびただしい量の紙吹雪が、スノーグローブのようにゆらゆらと舞台上に降り注ぐ――。そんな中に、太い麻縄でぐるぐる巻きにされた着物姿の姫君が現れる。銀色に輝く髪飾りが照明に反射し、キラキラと艶やかな光を放っている。矢沢さんだ。

麻縄は左の舞台袖から弧を描くように延び、彼女が囚われの身であることを告げている。苦し気な表情で会場を見つめ、切なげな身悶えをしながら、誰かに助けを求めているようだ。まるで歌舞伎や人形浄瑠璃の時代物を髣髴とさせるような情景描写に、思わずストリップ劇場であることを忘れてしまいそうになる。

切羽詰まった姫君は、足の指先で積もった桜の花びらの上に、何かを懸命に描こうとする。透き通るような太ももが露わになり、ドキッとさせられる。

すると、左の舞台袖から、白いねずみの人形がするすると出てきて、縄をひきちぎるようなしぐさをした。姫君が描いたのは〝白ねずみ〟で、それが本物のねずみに化けたのだ。

やがてそれは、全身白ずくめの着物をまとった、凛々しい美青年(踊り子の桜庭うれあさんが演じている)となって登場する。まさに白馬の王子様である。

そして、姫君の縄を嘘みたいに解いていく。さらに去り際は、「礼はいらないよ」という仕草をして、消え去っていく潔さを見せるのだ。

姫君を演じていた矢沢さんは、時代劇の世界から瞬時に抜け出すように、ベッド着と呼ばれる白いロングドレスに着替え、「盆」(花道の先端に突き出た回転舞台のこと)に向って歩みを進める。それからムーディな音楽に合わせて、身体を大胆に露出させ、脚をゆっくりと開いていく――。

劇場の内部はこんな感じ(イラスト:小錆花)

このように、浅草ロック座の公演は、ストリップ以前に、非常に洗練された演出や台本、舞台技術によって作られた「ストーリー性の高いショー」なのである。

7人がそれぞれ約10分の持ち時間の中で各「景」を演じる。「景」の世界観も「和」「洋」様々で、文学や映画へのオマージュがあったりと、古典芸能化した歌舞伎から「スーパー歌舞伎」が出てきたように着実に進化し続けているのだ。

近年、スト女がその数を増やしつつあるのも、こうしたストリップの「見せ方」の変化と無縁ではないように思われる。