医者が警告「動物由来感染症」の恐怖~あなたの愛犬もかかってるかも

覆面ドクターのないしょ話 第11回
佐々木 次郎 プロフィール

動物由来感染症から身を守る3ヶ条


動物が媒介する病気で特に厄介なのがダニである。その前に気になる言葉を2つ御紹介したい。

まず、小学校唱歌「ふるさと」の2番の歌詞はこうなっている。

「いかにいます父母、つつがなきや友がき……」

2つ目に、日本史で学んだ聖徳太子が隋の煬帝に宛てた国書。

「日出づるところの天子、日没するところの天子に書をいたす。つつがなきや」

この「つつがなき」は漢字で書くと「恙なき」。恙虫(つつがむし=ダニ)がいない=病気や災難がないという意味だという説もある。昔の人の生活はダニとそれほど密接だったのか?

 

ダニ、特にマダニは、野良猫に付着していることがあり、細菌やウイルスなどを媒介する。疾患としては、つつが虫病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などがある。これらのダニが媒介する病気は、発熱を初期症状とする。SFTSは重症で、血小板減少を伴うので出血が止まらなくなるり、死に至ることもある。つつが虫病は抗生物質が有効だが、SFTSは特効薬がない。対症療法をするしかないのだが、初期対応が重要になる。

高熱で病院を受診した際に、医者にぜひ提供していただきたい情報は、動物やマダニに接触したエピソードである。マダニは血を吸うと直径5mmにも膨らむので肉眼でもわかる。そのような虫を見なかったか? マダニによる新鮮な刺し口がのこっていれば診断の大きな助けになる。だが、6~14日の潜伏期間に脇など隠れた部分の刺し口が痕跡程度になってしまうと、医者は判断がつかなくなり、治療が後手に回りやすい。

よーく見ると、猫のまぶたの上に丸いものが……ダニです(photo by istock)

何と言っても重要なのは、本人や家族の記憶だ。野山に行ったこと、そのとき直径5ミリの虫に刺されたといったエピソードが予後を大きく左右する。

さらに命にはかかわらないが、ペットから疥癬(ダニの一種)がうつることもある。我慢できないほどに痒いのが特徴だ。こちらは特効薬がある。本連載の第5回を参考にしていただきたい。

まとめ
1. 動物、特に野性動物との過度な接触はしないようにしましょう。
2. 排泄物に接触した場合には、十分に手を洗いましょう。
3. 野山に行き、虫に刺されたエピソードは大変重要です。主治医に必ず伝えてください。