B判定でも不合格に…?「日東駒専」の難化が止まらないらしい

「定員抑制」のワナ
田中 圭太郎 プロフィール

日本大学を告発

日本大学は、科目数の2割減を打ち出すと同時に、16年度以降に雇用した非常勤講師の任期を、5年上限とする就業規則を導入した。

しかしこの就業規則は、法律の趣旨に反している。労働契約法は13年に改正され、同じ職場で5年以上働く非正規労働者が申し出れば、無期雇用に転換できることになった。にもかかわらず、この就業規則では、非常勤講師は無期雇用に転換できる権利が得られる前に雇い止めされることになる。

日本大学の目的は、内部資料でも明らかだ。導入を決めたのは2015年11月6日の理事会。当時の資料「非常勤講師に係る対応について」には、「非常勤講師の無期転換権発生を認めるということは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きい」と明確に書かれている。「無期雇用への転換を逃れるため」の就業規則なのだ。

 

しかも日本大学は、この就業規則を導入する際に、法律に沿った手続きをとっていない可能性がある。労働基準法第90条では、労働者の過半数が加入する労働組合か、労働組合がない場合は、全労働者の中から過半数代表者を選出して、意見を聞くことを定めている。

過半数代表者は選挙によって選ばれるが、日本大学は代表者を立候補させて、不信任投票で代表者を選んだ。

「労働基準法施行規則」や、「労働基準法解釈総覧」によると、過半数代表者の選出は、挙手などの方法で、労働者の過半数が支持していることを明確にした、民主的な手続きが必要とされている。

このため、「日本大学が実施した不信任投票は違法」だとして、首都圏大学非常勤講師組合は日本大学を今年2月、刑事告発した。非常勤講師自身も、渋谷労働基準監督署に是正措置を求める申告を行なっている。

日本大学は国内最大の学生数を誇り、経営状態も良好な大学だ。それなのに、合理化を目的に授業科目数を減らし、大量の非常勤講師を「雇い止め」しようとしている。

日本大学を告発した首都圏大学非常勤講師組合の志田昇書記長は、定員抑制を理由にした雇い止めが認められることになれば、他の大学も追随して、多くの非常勤講師が職を失う危険性があると危惧している。

「日本大学は文部科学省の政策である定員抑制をいい口実にして、非常勤講師を雇い止めしようとしています。こんなことが許されたら、多くの大学が日大の手法を見習ってコストカットをするでしょう。授業を減らすことで結局は教育の質も低下することになり、学生が大学に行く意味がなくなるのではないでしょうか」(志田書記長)

政府は「地方創生」のために首都圏大学の「定員抑制」を進めるというが、その美名のもとに未来を奪われてしまう学生や教員はたまったものではだろう。