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坊さん、GoogleMapを駆使して車遍路する。

そして僕は四国遍路を巡る⑦
白川 密成 プロフィール

第六十四番札所、前神寺(まえがみじ)にお参り。石鎚山の麓にある寺で、修験道の道場(真言宗石鉄派の総本山)らしく深山の霊地としての雰囲気をたたえている。境内に入ると、すぐにどこからともなく山を流れる水の音が聞こえ、すっと気持ちが和みながらも、心地よく緊張するような気持ちになる。僕はこういった深山の寺の雰囲気が大好きだ。

写真:著者提供

弘法大師の時代から今に至るまで、霊山として信仰を集める石鎚山の寺としての霊気が寺に満ちている。修験道の祖、役行者(えんのぎょうじゃ)が、石鎚山で修行したといわれる天武天皇の時代、釈迦如来と阿弥陀如来が、衆生の苦しみを救うために石鉄蔵王権現となって現れた尊像を祀ったのが開創とされている。

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日本の仏教信仰は、哲学的思想の変遷ばかりでなく、日本人の死生観と深く結びついた修験道と切っても切れない関係にあると僕は思っているが、四国遍路を巡りながら、その結びつきを身体で感じることができる。その感触は、今を生きる僕たちをもどこか底の方から暖めてくれる。

愛媛県最後の札所である六十五番札所、三角寺は弘法大師が三角形の護摩壇を築いて「降伏(ごうぶく)護摩」を21日間修法されたと伝わる寺。

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64番からいつものようにカーナビの目的地をセットして向かうが、道路の道案内と逆方向になっていた為、車を停めてGoogleMapを設定すると、うまい道が見つかった。遍路寺は、奥まった場所にある場合が多いので、カーナビよりも現地の道案内を重視した方がいい場合が多い。

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この寺には、樹齢300年〜400年と言われる山桜があるが、その近くに寛政7年(1785年)この地を訪れた小林一茶の句碑「これでこそ 登りかひあり 山桜」の句碑が建つ。「小林一茶」と言われても、「教科書の昔の人!」というイメージしか湧かない人も多いと思うけれど、同じ風景をみた感嘆を共有することで、小林一茶という人物の輪郭が浮かびあがってくる。遍路におられるのは、弘法大師ばかりではない。

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さぁ、もう歩こう

後日、お参りできなかった、石鎚山中腹の六十番札所、横峰寺にお参りするために、まず車でバス乗り換え場所まで走り、そこから歩くことにした(横峰寺行きのバスは冬期休業を終える直前であり、運行していなかった)。

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なにも下調べをせずに訪れたため、そこから数時間歩くとは知らず、途中で諦めて引き返すことにした。

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しかしその間の風景は、オフロードバイクの郵便屋さんに出会ったり、透明度の高い川に目を奪われたり、春の訪れを予感させる気候の中で、キラキラと輝いていた。

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そして、僕は思う。さぁ、もう歩こうと。

まずは四国遍路八十八ヶ所をすべて車でお参りしてからと思っていたが、地元の愛媛を車でお参りして、石鎚山に跳ね返さた後、この春の遍路道を徳島県の1番札所から歩く時期がやって来たのだと直感した。

というわけで、次回からは突然ですが、1番札所から「歩き遍路」をスタートする予定だ。

仏教は「坊さん」だけが独占するには、あまりにもったいない。24歳、突然住職に。笑いあり、涙あり、不思議感溢れる坊さんワールド。