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坊さん、GoogleMapを駆使して車遍路する。

そして僕は四国遍路を巡る⑦
白川 密成 プロフィール

普段あまり考えないことを思い出す

第六十番札所、横峰寺は西日本の最高峰、石鎚山の中腹750メートルの山中に建つ寺なので、冬期は車でお参りをすることが難しい。なので後日、お参りさせて頂くことにして、六十一番香園寺(こうおんじ)にお参りする。

写真:著者提供

この寺は、弘法大師が訪れた際、難産に苦しむ妊婦を栴檀(せんだん)のお香を焚いて加持祈祷して救ったという縁起により、安産の寺、「子安大師(こやすだいし)」として地元でも著名であり、お寺自体を「子安(こやす)さん」と気軽に愛着を込めて呼ぶ方も多い。僕たち家族も子供を授かった時には、妻の実家のある兵庫県の中山寺と共に、このお寺をお参りさせて頂いた。日曜休日になると、子連れのお参りもかなり多く、どこか明るい雰囲気のお寺だ。

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広大なお寺の本堂では僧侶が、祈祷をしている最中で、お参りの途中で仏像や伽藍ばかりでなく「僧侶の姿」を見ることができるとうれしく、これも自分の住職を務めるお寺でもヒントにしたいと思った。

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駐車場に新しく設置されている礼拝所にお参りした後、納経も頂く。

このお寺を出て、急に飛び出すタクシーに遭遇。いつもなら、「おいおい!」と気持ちが燃え上がるところだが、ふと最初に挙げた「遍路は修行なので、怒らないこと」と伝えてくださった僧侶の言葉が耳に残っており、冷静を保つ。昼食は、このあたりの名店、マルブン小松本店。メニューにあった地元の手作り醤油とのコラボ和風パスタでも住職として、仕事の刺激を受けたが、スタンダードなイタリアン・パスタを頂いた。煩悩でいっぱいだが、やはり遍路中の食事は楽しみのひとつ。

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宝寿寺にもお参りは済ませ、六十三番札所吉祥寺へ。この寺に弘法大師が訪れた際、光を放つヒノキの木を見つけ、一帯に霊気が満ちているのを感じられた。空海は、その木で、本尊毘沙門天を彫ったという。この吉祥寺は、毘沙門天を本尊とする四国札所では唯一の寺であり、本尊の脇侍(わきじ)には、毘沙門天の妻である吉祥天と、息子である善(貝貳)師童子(ぜんにじどうじ)がおられる。

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境内にある金剛杖を通せば願いが叶うという「成就石」に挑戦していると、何度もお参りされているお遍路さんが丁寧にやり方を教えてくださる。僕が札所の住職とは、思いもしないだろうからこそ、その親切さに遍路自体が支えられているのを感じる。

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遍路をしているとふと「普段あまり考えないこと」を思い出すように、はっと感じたりすることがあるが、この寺で僕は「心配しても、その心配事が起こる可能性は減らない。心配なら、現実的な行動を少しでもしなければ」ということが、頭を駆け巡っていた。