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「SNS映え」で観光客も増えた地方が、活性化しないのはなぜ…?

地方ブームが終わる前に何ができるか

「SNS映え」する地方

昨年(2017年)末、安倍首相が懇談会の席上で「地方活性化の鍵」は「SNS」にあると発言し、物議をかもした。山口県の神社が海外メディアの紹介で観光客が増えたことを引きあいに、「SNS映え」が地方活性化のキーになると訴えたのである。

多くの批判が集まったように、この発言はたしかに軽薄である。

たとえばそれは、すでに観光客誘致のため施策を積み重ねてきた地方の努力を軽くみている。他の地方を出し抜く競争のなかでむしろ疲弊している地方に対する理解と同情が、そこには驚くほど欠けているのである。

ただし発言のこうした浮薄さを、ここで非難したいのではない。首相の発言で興味深いのは、多くの地方で再開発や整備が進み小奇麗に飾られた姿が浮き彫りにされることである。

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最近の地方では少し行けば小洒落たレストランやカフェ、リノベーションを受けたパン屋や本屋が大抵みつかり、またTSUTAYA図書館を代表に、図書館、体育館、児童遊技場などの快適な公共施設も立ち並ぶ。

そのバックにありあまる自然を置けば、「いいね」を集める投稿がつくれるという意味で、地方は潜在的に「SNS映え」する場所へと変貌している。

だからこそ安倍首相も反感を考慮する必要なく、あらゆる地方にSNSの活用を求められたといえよう。

 

ただし問題は、再整備やリノベーションによって、地方に「快適」な空間が増えているにもかかわらず、それが一向に「活性化」に結びついていないことである。

たしかに部分的には、観光客を増やした地域もみつかる。しかしマクロにみれば経済や雇用、また人口減少などが地方で回復しているというはっきりとした証拠はない。

逆に地方部への転入人口は減少を続け、相対的に安定している大都市への転入と今ではほぼ同じになってしまっているのである(図1)。