「ユダヤ系ロビー団体」巨大イベントで見えた、日米の不安すぎる未来

日本政府の「頼みの綱」が嫌われていた
海野 素央 プロフィール

前述のマーフィー議員は、「我々はイスラエルを守らなければならない」と明言しました。そのうえで、「イスラエルは移民の国であり、私も移民だ」と述べ、聴衆も彼女に共感しているようでした。パネッタ議員は、シリアについて言及し「イスラエルと米国は同じ価値観を共有しているが、シリアとはしていない」と主張して、イスラエルをシリアから防衛する必要性を強調しました。

またマスト議員は、「イスラエル首都のエルサレム移転こそ、真の和平プロセスの始まりだ」と断言、イスラエルを全面的に支援していくと宣言しました。ケリー議員も他の3人と同様、イスラエルの安全確保に対するコミットメントを表明しました。

筆者はこのやり取りを聞きながら、「ここでイスラエルを日本に置き換えて質問したら、『日本の安全を確保する』と断言できる米議会議員はいるのだろうか」と想像を巡らせていました。

米議会には、2014年3月に発足した米日議員連盟(ジャパン・コーカス)があります。現在、超党派の議員100名以上が名を連ねていますが、ではその中で何人が、「わが国が、北朝鮮や中国の軍事的脅威から日本を守ってみせる」と即答するでしょうか。

 

頼れる人がいない

日本政府がこれまで関係を築こうとしてきたトランプ政権幹部は、いま次々に「落ち目」を迎えています。

いっとき菅義偉官房長官がアプローチしたマイケル・フリン元大統領補佐官は、FBIに偽証罪で起訴されています。昨年12月に来日し話題となったスティーブン・バノン元首席戦略官兼上級顧問は、暴露本問題で失脚しました。来日した妻のイバンカ氏を厚遇するなど、外務省や安倍総理が関係を築こうとしてきたクシュナー氏は、前述の通り最高機密情報へのアクセスも制限され、影響力が低下しています。

さらにトランプ大統領は、新たな国務長官と大統領補佐官に保守強硬派のマイク・ポンぺオ中央情報局(CIA)長官とジョン・ボルトン元国連大使を起用、政権内のパワーバランスが大きく変化しました。今後の政権内部の対立は、超強硬派のボルトン氏vs.慎重派のジェームズ・マティス国防長官という構図に移るでしょう。

AIPACで話を聞いたユダヤ教徒の意見も踏まえると、日本政府が頼みとしてきたクシュナー氏は、もはやトランプ政権の中心から遠のきつつあると言わざるを得ません。

目まぐるしく変化する情勢に、わが国はいかに対処してゆくのか――ますます見通しは悪くなる一方です。