「佐川氏の日程は1日で廃棄」情報公開請求でわかった衝撃の実態

もはや社会的悲劇と言っていい…
三木 由希子 プロフィール

一体何が記録として残っているのか確認するため、筆者が情報公開請求して確認したところ、入館記録としては「総理大臣官邸訪問予約届(以下、予約届)」しかないようだ。

2017年6月13日の「予約届」が手元にあるが、各省庁の職員の官邸内用務、官邸内で開催される各種会議の参加者、取材、在日大使館からの訪問者など、官邸という施設に入るための事前届しか残っていなかった。

この「予約届」は、官邸に入る人すべてに必要なわけではないようだ。同じ日の朝日新聞の首相動静によると、官邸にいる首相のもとをさまざまな人が訪れているが、いずれも「予約届」には入っていない。

官邸には首相だけでなく、官房長官、副官房長官をはじめ秘書官などもいるので、誰が誰を訪問しているのかもまた、権力へのアクセスの記録として、説明責任を果たすべき対象になるべきなのだが、そもそも記録すら残していないのが現状だ。

【午前】9時29分、官邸。32分、閣議。47分、山本有二農林水産相。11時27分、シンガポールのチン・シアットユーン駐日大使。
【午後】0時40分、山口県の村岡嗣政知事、柳居俊学県議会議長。3時16分、外務省の杉山晋輔事務次官、上村司中東アフリカ局長。36分、上村氏出る。4時、杉山氏出る。1分、谷内正太郎国家安全保障局長、北村滋内閣情報官、木野村謙一内閣衛星情報センター所長。14分、谷内、木野村両氏出る。36分、北村氏出る。6時10分、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ。(以下略)
 

日程表に本来の1日の活動が記録されず、1年未満保存で廃棄されていくことは、無責任極まりないと筆者は考えているのだが、行政文書管理ガイドラインは少なくとも1年未満保存とする行政文書として日程表をわざわざあげている。

官邸の入館記録が1日保存であることは国会答弁で明らかにされていたが、ガイドライン改正で1年未満保存文書の基準を検討した際、はなから検討もされていない。

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筆者の感覚がずれているのかと思っていたが、アメリカの記録管理を見ると日本の置かれた状況が鮮明に浮かび上がる。

米連邦記録法は、レコードスケジュールによって保存期間を設定し、保存期間満了後の廃棄・移管を決めている。

一般レコードスケジュールで保存期間が設定されている記録類型は、例外として定められているものを除いて、保存期間が満了すると廃棄される。これとは別に、個別に定めるレコードスケジュールがある。

一般レコードスケジュールでは、「高官ではない職員の日々の活動に関する日程表、スケジュール」は一時的な記録として、業務上必要がなくなった時点で廃棄できるとされている。

しかし、この範囲から「高官」は除かれている。「高官」とは、連邦政府機関のほか各委員会などの長と各長の補佐官、副官、COOやCIOなどの最高管理責任者、局長、地方支分部局の長などが当たるとされている。

「高官」の日程表のレコードスケジュールを探してみると、保存期間満了後は永久保存として米国立公文書館への移管とするものが見つかる。

米連邦記録法では、管理の対象とする「記録」とは、「組織、機能、政策、決定、手続、運営その他の政府の活動の証拠として、あるいはその記録の持つ情報的価値のため、保存されあるいは保存が適当」なものとされ、政府高官の日程表は、組織、機能など政府活動の証拠ということになる。

この日程表が永久保存される高官の範囲は、電子メールがまとめて保存されてやはり永久保存として公文書館に移管される範囲を同じだ。電子メールもやはり、組織・機能などの政府活動の証拠とされている。

ただし、ここでいう「記録」とは連邦政府機関のものなので、ホワイトハウス(大統領行政府)そのものは対象となっておらず、大統領記録法の適用対象となる。

大統領任期中の記録は、退任後に各大統領がそれぞれ作る大統領図書館に移管され、順次記録が公開される。

また、日本でいう情報公開法に当たる情報自由法も、ホワイトハウスの管理下にある記録は請求対象から外されている。

日本とは仕組みが違うので少しわかりにくいかもしれないが、ホワイトハウスの管理下の記録か連邦政府機関の記録かで争いがあったのが、ホワイトハウスの訪問者記録だ。