# 日本文化

外国人観光客を「なんとなく」増やすことに私が断固反対する理由

日本の皆様、本当に覚悟はありますか?
堀井 憲一郎 プロフィール

「金のために我慢してください」

観光立国を強く提唱するなら、そのときに一緒にいえばいいのはただ一言である。

観光は金儲けです。金のために我慢してください

まあ、そうは言いにくいだろうけれどね。要諦はそういうことになる。

だれかがうまくオブラートに包んで、それを言うしかない。

言われたら怒る人もいるだろうし、反発も出てくるだろう。

それでも言わなくてはいけない。観光立国を指導している人たちが、説明しなければいけないポイントである。

しかし言わない。

どちらかというといま観光に関して発せられているイメージは「日本のよいところを世界に知らせましょう。日本によいイメージを抱いてもらいましょう」というものだ。東京五輪が近づいていることもあり、日本の良いイメージのために、外国人を丁寧に応接しましょう、という要請である。

言葉がきれいで、理念的で、少し説得力がある。イメージが心地いい。受け入れやすい。

だからみんな、なんとなく聞き入れている。

しかし、国民を巻き込んだ国家的商売を始めるにあたって、よい部分だけを宣伝して、リスクの説明をしないのはかなり不正直である。

日本のいいイメージを抱いてもらうことはもたしかに大事だが、しかし所詮、タテマエでしかない。ホンネは違う。

ホンネは、経済効果であり、ストレートにいえば、外国人が落としていく金が欲しい、である。

もちろんそんなことはわかっている国民は多いのだが、しかしあえて言葉にしたほうがいい。卑しく聞こえるが、つまりそれほど日本国は切羽詰まっているということを主張できる。自覚したほうがいい。

それにホンネを言葉にしないと、やはり気がつかない人種もいる。本当に純粋に善意から日本のことをよく思われたいからと動く人たちがいる。それは日本の良心を受け持ってくれてるような人たちなのだけれど、その人たちにも目的は金儲けだという意識は共有しておいたほうがいい。

 

四季は世界中にある!

そもそも、日本人に日本の良いところを説明させようとしてもなかなかうまくいかない。

何が日本独自のもので、何をどう強調すれば外国人が喜ぶのかまったくわからない国民に、日本の宣伝はむずかしい。

とっちらかって「四季があるところが日本の素晴らしさ」と言い出す人もいるらしい。ヴィヴァルディを引き出すまでもなく、そんなものはある緯度に住んでいれば地球上あちこちで経験できるわけで、それは日本が押し出すポイントではないのだが、なかなかそういう自覚がないらしい(四季があることを日本の自慢のポイントにする人は本当に多いらしく、辟易する帰国子女らの話を何度か聞いた)。

四季があることが日本国の特徴だと考えている人がそこそこいる状況で(つまり自分の立っているところしか見てなくて、相手が誰だかを考えていない人が多い状態で)、いろんな国の人が来ても、きちんと対応できているわけではないだろう。

そちらもかなり準備不足である。

日本をよくおもわれたいという善意の人は、おそらく、外国人を好きになろうと努力するだろう。

商売だと割り切れば、それは要らない。

相手に不愉快におもわれない態度を保っていれば、好き嫌いは関係ない。仕事だから。

そういう視点を日本国民で共有するべきだとおもう。