住宅ローン「退職金で一括返済は大損」かもしれない

こんな逆転の発想もあるのか
週刊現代 プロフィール

今からローンを組むもよし

もし、あなたが賃貸物件に住んできて、現在、住宅ローンを抱えていないのならば、これから住宅ローンを借りて家を買うという「逆転の発想」もある。55歳を過ぎてから借金なんて、と眉をひそめる向きもあろうが、むしろこちらのほうがお得なのだ。

実際に自宅を購入した都内在住の会社員、羽田康史さん(55歳・仮名)の話を聞こう。

「結婚以来、ずっと賃貸で暮らしてきましたが、昨年初めて自宅をローンで購入しました。私には子供が3人おり、教育資金が必要になるのがわかっていたため、これまではローンを組むのは危険だと考えてきたのです。

また、5人家族用の家を買っても、将来、妻と二人で住むには広すぎることは目に見えていましたので、大きな家を買うことは、老後の人生に重荷になるかもしれないと思ってきました。

しかし、子供たちも無事に全員独立して、広いスペースはもう必要ありません。高齢になったら、賃貸物件を借りられないリスクもある。そう考えて、小さなマンションを購入しました」

Photo by iStock

購入価格は3500万円。現金で買うこともできたが、10年間、ローン残高の1%(最大40万円)が毎年戻ってくる「住宅ローン控除」を受けるために、羽田さんはローンを組むことにした。

借り入れ金額は2500万円で、期間は20年間(10年間は固定金利)。毎月の支払い金額は11万円で、これまでの家賃よりも2万円安くなったという。

「退職金と年金の金額は確定しましたが、繰り上げ返済をすることは考えていません。ローンが終わる75歳よりも前に死んでしまうと、借金はチャラになるのだから焦って返す必要もない。

とりあえず65歳までは今の会社の再雇用制度で働いて、現金を手元に貯めることにします」(羽田さん)

 

55歳から家を買うという羽田さんの「逆転の発想」を、前出の内藤氏は評価する。

「50代後半でマイホームを買うこと自体に不安を感じる人がいるかもしれませんが、それは間違い。むしろ若いときは転職や倒産に遭遇する可能性は高いですし、子供の教育費がいくらかかるかもわかりません。

そんなときにローンを組んで負債を固定してしまうことのほうがリスクは高い。

子供が独立した後であれば、小ぶりの住宅でいいため、価格も安くて済みます。当然、借り入れ金額も少なくて済む。そうした点を考えると、羽田さんの選択は合理的だと言えるでしょう。

55歳を過ぎて銀行が融資をしてくれるのかと心配する方もいるかもしれません。しかし、たとえ65歳でも、銀行所定の年齢までに返済するスケジュールなら借りることは可能です。

会社に長年勤めてきて、退職金や年金をもらえることがはっきりしている場合、貸し倒れリスクは低いと言えます。ただし、団信加入が前提なので、健康には気をつけてください」

借金を早く返したところで、金融機関の儲けを確定させるだけ。住宅ローンは慌てて返すな、が正解なのだ。

「週刊現代」2018年4月7日号より