「患者の問診票」実際にあった珍回答を集めてみた

覆面ドクターのないしょ話 第10回
佐々木 次郎 プロフィール

アロンアルファを飲んだ!?

次の患者さんは、63歳のアジア系外国人女性。

Q どのような症状?
A ホサレタ、ユビイタイ

少し日本語がたどたどしいようです。

「ホサレタ」とは「干された」ということでしょうか? 地域で干されたのでしょうか? それとも外国人のコミュニティーで干されたのでしょうか? 干されて、皆にスル―されたにもかかわらず、指が痛いとは? 干された後に体育館の裏に呼び出されて、みんなから痛い目に遭ったのでしょうか? まずは診察室へどうぞ。

「ホサレタとは、どういう意味でしょうか?」
「オサレタ」
「『押された』ですか?」
「ソウ」
「誰に押されたんですか?」
「ワタシニ」
「何を?」
「ユビヲ」

よく聞いてみたら、「指を押した」=突き指でした。ガクッ。

 

元気出して、次行こう! 65歳男性。

Q どんな症状? いつから?
A やけど。1週間前から。焚き火をしてたら、いつの間にか火にくべられてた。

大丈夫ですか!? どうして火にくべられちゃったのですか? それじゃ、火あぶりじゃないですか! 公園で宗教裁判でもしてるんでしょうか!? ザビエル! まずは診察室へどうぞ。

「どうして火にくべられちゃったのですか?」
「知らね。寝てるうちにこうなってた」
「長靴が皮膚にこびりついてますが…」
「5年間履いてたから」
「脱がないんですか?」
「何で脱ぐんだよ」
「欧米みたいですね」

このおじいちゃんは、やけどの治療のため入院。

次は65歳の女性。

Q どのような症状?
A アロンアルファを飲んだら気分が悪くなった。

えーっ! アロンアルファを飲んじゃったんですか? それは大変だ! もちろん気分が悪いですよね? いや、今はそれどころじゃないですよ。呼吸はできるんでしょうか? のどが瞬間接着して「ヒーフー」していないのでしょうか? 診察前から私ののどもくっついてしまったようで、こちらが息苦しいです。救急車を呼ぶことも考えておきましょう。まずは診察室にお入りください。

このおばあちゃん、二本の足でスタスタ歩いて入ってきた。状況を問診する。

「飲んだのはアロンアルファですか?」
「だと思うんだけど」
「どこでその薬を処方されたんですか?」
「よその整形外科で。今まで骨粗鬆症の薬飲んでたけど、先生が変更するって言ってた」
「ご気分はどうですか?」
「薬が変わったからかな。ちょっと胃がもたれてね」
「お薬手帳ありますか? 見せてください」

ほんとに瞬間接着剤を飲んじゃったんなら一大事だか(photo by istock)

お薬手帳には……「アルファロール(骨粗鬆症薬)」と書かれてあった。アロンアルファ……なわけないよな。

次の患者さんは、86歳のおばあちゃん。

老人施設に入所中。認知症の症状が強く、字は書けないので、施設のスタッフが連絡ノートに症状を書いてきた。

Q どのような症状?
A 親指大裂傷

大裂傷かぁ……縫わなきゃいけないだろうなぁ。「親指大裂傷」ってことは、指の先端から根元までザックリ切れちゃってるのかな? すぐに診察室にお入りください。

親指大裂傷という割に、包帯もせずに来院。見ると、親指の先に絆創膏が貼ってある。剥がしてみると、約5ミリの擦り傷。スタッフの人はこれを「親指大裂傷」と思ったのだろうか? もしかして2リットルくらい出血したんですか? 読者の皆様、御安心ください。全然問題ありませんでした。