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「佐川氏証人喚問」と「金正恩電撃訪中」報じられないそれぞれの核心

いずれも事態の収束は当分先だ

「佐川証言」の矛盾点をどう見るか

国会が森友学園問題をめぐる証人喚問をしている間に、中朝首脳会談が開かれ、朝鮮半島情勢が大きく動いた。どちらも見逃せない重要ニュースだ。そこで異例だが、今週のコラムは証人喚問と朝鮮半島問題の両方を取り上げる。

まず森友学園問題について。かねて指摘してきたように、これは「安倍晋三首相が森友学園に特別な便宜を図ったのかどうか」という本来の疑惑と「だれがなぜ、どのように公文書を改ざんしたのか」という2つの問題がある。

3月27日に開かれた国会証人喚問で、前財務省理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官は公文書改ざんについて「理財局の中で対応した」と答弁し、安倍首相や麻生太郎財務相兼副総理はじめ首相官邸、他の財務省部局の指示や関与を完全に否定した。

また国有地の貸し付けや売却についても、安倍首相や昭恵夫人の指示や圧力、関与を否定した。改ざん前文書にある「特殊性」や「特例」という言葉の意味については、先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54957)で指摘したように「10年間の貸し付け後に売却する」という手続きが異例だったので、通達の定めにある「特例処理」をした、との趣旨を答弁した。

「なかったこと」の完全無欠な証明は難しい。だが、偽証罪に問われるリスクを背負ったうえでの証言だから、安倍首相の関与がなかった点は、これで裏付けられたと言っていい。本来の疑惑は晴れた形である。

それでも、佐川氏の証言自体に矛盾があるように見えた部分があった。それは同日午後に開かれた衆院予算委員会における証人喚問の中で飛び出した。

江田憲司議員(無所属の会)が「政治家からの働きかけはなかったのか」と繰り返し追及すると、佐川氏は「理財局として貸し付けとか売却の経緯は記録を見ながらやっている。そういう中で不当な働きかけはなかった」と答弁した。

私が注目したのは「記録を見ながらやっている」と答えたところだ。それならば、貸し付けや売却の経緯について「記録があった」という話になる。江田氏の尋問は「政治家の働きかけがあったかどうか」が中心だったので、この場で江田氏の追及は深まらなかった。

 

その直後、今度は宮本岳志議員(共産)が売却をめぐる交渉記録について尋問した。宮本氏は昨年2月24日、国会で佐川氏に「森友学園と近畿財務局の交渉記録があるかどうか」を質問していた。

これに対して、佐川氏は当時「売買記録について、委員(宮本氏)からの依頼を受けまして確認したところ、近畿財務局と森友学園の交渉記録はございませんでした」と答弁していた。「交渉記録は破棄した」と答えていたのである。

以上のやりとりを踏まえて、宮本氏は「当時、あなたは『確認したところ、なかった』と言った。だが、改ざん前文書には交渉経過が記載されていたのだから「当時の答弁は虚偽ではないか」と迫った。すると佐川氏は緊張した面持ちで「『確認した』という意味は文書取扱規則を確認した、という意味でした。申し訳ありません」と答えたのである。

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