塾に行かずにハーバード合格させた「最強の母」が説く教育の極意

家庭教育で伸ばせる「5つの力」
廣津留 真理 プロフィール

やりぬく力を家で育てる

③ グリット
  
グリットとは「やり抜く力」。アメリカの心理学者アンジェラ・リー・ダックワースさんの研究がきっかけとなり、注目されるようになりました。

自らの個性を活かせる得意分野を作って伸ばすには、1日3~4時間の地味すぎる練習やトレーニングをコツコツと積み重ねることが求められます。何事も「継続は力なり」ですが、グリットがないと自分の得意を伸ばす試みを途中で諦める恐れもあります。才能とは「何かを続けること」だとされますが、その原動力となっているのはグリット。グリットも家庭教育で伸ばせる能力の一つです。

音楽を突き詰めたとしても、全員が音楽家として活動できるわけではありません。でも、仕事は専門領域の周辺にあるとされています。一つの得意分野や専門分野にこだわらず、そこからアウトグロウ(outglow 殻を打ち破って成長)するのが理想。何かを突き詰めるだけのグリットが養われていればアウトグロウも容易でしょう。

 

力になる「かわいげ」を身につけるには

④ コミュニケーション力
  
社会に出るまでに身につけたいものとして、コミュニケーション力の必要性は広く語られていますが、文化や社会的な背景の異なる人たちとの交流が広がるグローバル時代、それは必須条件になります。

コミュニケーション力の前提となるのは、誰に対しても親切に笑顔で接するフレンドリーさであり、偏見なく柔軟に考えるオープンマインドな姿勢。私はそれを「かわいげ」と呼んでいます。これは巷で言われる「女子力」「愛され力」といったものとはまったく異なり、性差を超えたユニバーサルなサバイバル能力です。

「かわいげ」の本質とは、自分に足りないものを素直に認め、その不足を補ってくれる他人に自分を委ねられる能力。この「かわいげ」を獲得できているか否かで、社会に出て成功できるかは決まります。

なぜなら、社会には自分一人だけで完成する仕事は一つもないからです。一人だけいい点数を取って満足していても、そこからの発展はないのです。娘も「ハーバード大学のコミュニティは、お互いを尊敬するのが当たり前という前提で成り立っていた」と語っています。社会で多くの人脈やサポートを得て成功している人たちは、間違いなくこの「かわいげ」を備えています。

ハーバード大学の食堂 写真提供/廣津留真理

ただ、基本的に点数や偏差値で人の能力や上下を判断する学校教育の現場では、この「かわいげ」を獲得する機会はありません。フレンドリーさとオープンマインドな人格を養い、コミュニケーション力を磨くためには、家庭で子どもと親の一方的ではなく笑顔とユーモアに溢れた会話や関わりを増やし、その質を高めるほかないのです。