老親が忘れてしまった「放置資産」見つけたら、こんなに儲かった

認知症急増で 塩漬け資産が150兆円に
週刊現代 プロフィール

保険金の「もらい損ね」

SBI証券の広報・IR室の担当者が言う。

「口座を開設している方が亡くなったことについて相続人の方などから連絡があった場合は、一旦その口座を凍結し、相続の手続きに移ります。

しかし、そうした連絡がない限り、口座はそのままです。証券会社としては何か手を付けることはありません。また、弊社のほうからお客様がご存命か否かを確認することもありません」

つまり、親が有価証券を持っていたかどうかは、自力で確認するほかないということだ。では、効率的に株や投資信託を探す方法はあるのか。日本証券業協会の担当者が首を振る。

「残念ながら、亡くなった方がどんな株を所有していたかを、一括で調べる方法は存在しないのが実情です。証券会社から届く配当のお知らせや契約書が残っていないかを確認するのが最も近道だと思います。

書類が見つかったら、証券会社に連絡してみてください。そうでない場合には、心当たりの証券会社に片っ端から連絡を入れて、相続人である旨を伝え、口座があるかどうかを確認するしかありません」

 

一方、実家の片付けをする中で幸運にも、株券が見つかったとしよう。古い株券が見つかった場合にも、「古いから」という理由で放っておいてはいけない。

'09年に株券の電子化がスタートしたが、発行している会社次第では紙の株券でも効力を持っていることもある。

株券や投資信託だけではない。現在、大きな問題となっているのは、銀行口座に遺されたカネだ。通帳の持ち主が亡くなり、そのまま放置されているために相続が行われていないケースがあるのだ。

そうした相続されない資金を含む「宙に浮いたカネ」、10年以上放置された「休眠預金」は、毎年、新たに1000億円以上も増えているという。

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さらに「保険金のもらい損ね」も大きな問題だ。前出の藤井氏が語る。

「死んだ親が生命保険に加入していたのに、保険金を受け取れないケースが今後多くなることが懸念されます。

近年、キチンとリスクを説明されないまま高齢者が銀行員に保険を買わされるケースが増えており、親が保険に入っていた事実を知らない子供も多くいるからです」

生命保険協会が発表したデータによれば、協会に加入している保険会社で、過去の「支払い漏れ」が発覚し、'16年度に新たに支払うことになった保険金の合計は、約3億1700万円にも上る。件数は1885件だ。

「ただ、これも氷山の一角でしょう。まだまだ『支払い漏れ』『もらい損ね』は多数あると思います。保険会社は支払い漏れをなくすべく、顧客が存命か否か、どういう状況にあるかといったことを調査しようとはしていますが、それにも限界があります」(前出・藤井氏)

親が存命中の場合でも、保険金の「もらい損ね」は起こりうる。たとえば、親が3大疾病になった時に給付金が出る「入院特約」のついた生命保険に加入していた場合。

親が認知症になり、周囲の人間も保険に入っていることを認識していないと、特約の給付を受ける権利があるにもかかわらず、それを請求できないことが多いのだ。もちろん、保険会社側が自ら連絡してくることはないので、給付を受け取れない。

自宅を整理していたら保険証券が見つかった、しかし、保険の「請求時効」である3年を過ぎていたというケースもある。その場合はどうすればいいのか。マネーステップオフィス代表の加藤梨里氏が解説する。

「保険金を請求する権利は、原則として、受け取る事由が発生して3年まで有効とする保険会社が多いです。しかし、請求をすれば、保険会社が支払いに応じてくれることもあります。3年を過ぎていても諦めてはいけません」

あなたの家にも埋蔵金がある可能性は十分にある。しかし、誤ってアコギな業者に遺品整理や片付けを依頼してしまうと、その資産をドブに捨てることにもなりかねない。その点について、次章でご説明しよう。

「週刊現代」2018年3月31日号より