移住はどれだけ増えているのか? 海外も注目する日本の「田園回帰」

移住者に「3つの変化」が起きている
小田切 徳美 プロフィール

また、最近公表された総務省の調査も興味深い(総務省『「田園回帰」に関する調査研究会報告書』、2018年3月)。

過疎地域を対象にして、国勢調査の個票により、そこに居住するが5年前には都市部に住んでいた者を「移住者」と捉え、そうした人々の数や分布などを2000年、2010年、2015年の3ヵ年について調べている。

これにより、市町村別移住者数の動向など、移住の全体像が把握できる。

5年前と比べて移住者を増やす区域(平成大合併前の2000年4月時点の旧市町村の単位)の数は、2000→2010年の108区域に対して、2010→2015年には3.7倍の397区域に増加している。これは過疎地域の全区域の26%に相当する。

図1はそれを地図化したものである。

地図上の色で言えば、2000→2010年には「赤」と「濃い緑」に色塗りされた所で移住者を増やし、2010→2015年には「赤」に「濃紺」の地区も加わりその合計数が397地区となっている。

限られた地区から、インクが染み出すようにそのエリアが拡大している様子が確認できる。

また、移住者が増えた区域の割合が高いのは沖縄、中国、四国だ。

ここでは3割以上で移住者増が確認される。これら地域では従来から田園回帰の強さが報告されており、データにもそれが現れている。

また、東北では、岩手県の沿岸地域で移住者増が見られるが、これは東日本大震災の復興事業の影響が予想される。

このなかで、沖縄では離島部に移住者増加地区が多い。

 

また地図にも見られるように、中国、四国では、過疎地域の中でも、特に県境付近でこの傾向が見られる。また、それは他の地域でも確認される(例えば紀伊半島や中部地方)。

つまり、離島や県境という「遠隔地」でこのような現象が顕著なのである。

さらに、興味深い事実を図2に示した。人口別の区分で見た移住者の増加した地区の割合を見たものである(2010〜2015年)。

これによれば、地区人口が小さい地域ほど、移住者が増えた割合が大きい。「遠隔地」に加えて「人口小規模」地域で田園回帰が活発化していることがわかる。