渡り鳥は迷わない!?――驚くべきナビゲーション能力に迫る!

鳥類の驚異的知能!
ブルーバックス編集部 プロフィール

この問いに対して、現在の科学は明確な答えを得られていない。

磁気情報(緯度による地磁気の変化だけでなく、土地ごとの特徴も利用している?)、音響情報(地形に特徴的な音〈ヒトには聞こえない〉を聞いている?)、匂い情報(よく知る場所に特徴的な匂いの交じり具合をかぎ分けている?)などさまざまな候補があげられ、それぞれを間接的に支持する証拠は見つかっている。

しかし、どうやらこれら候補のどれか1つが認知地図に書き込まれているわけではなさそうだ。

 

情報を組み合わせる脳

鳥の脳についての研究が進み、その構造が明らかになってきた。はたして、ハトの海馬にはほかの部位をつなぐ高密度の配線が形成されていることがわかった。多くの感覚受容体で得た情報が海馬に集められ、さらにべつの部位へと信号が送られているらしい。これが認知地図の一端なのかもしれない。

鳥の脳はさまざまな情報をかき集め、それらを統合して利用している。地磁気も音も匂いもすべて役に立つのだから、利用しない手はない。いずれかの情報が得られない場合には、残りの情報を利用すればいい。

ヒトも同様だ。ナビゲーションにかかわらず、私たちはさまざまな情報を意思決定に用いている。

「気になるあの子は、僕に気があるだろうか?」

それを知りたければ、さまざまなセンサーを総動員して情報を集めよう。メールやLINEの返事のタイミング、文面、話すときに目が合う頻度、距離感、……。LINEは既読スルーされている? よし、じゃあほかの情報を吟味しよう。直接話す機会はない? いつも遠くから後すがたを眺めている? 残念、脈はなさそうだ。ていうか、きみはストーカーかもしれない。

遠くから眺めているだけでは…… Photo by Collin Armstrong on Unsplash

鳥たちの能力はそんなもんじゃない!

本稿では、伝書バトや渡り鳥の驚異のナビゲーション能力を紹介した。鳥たちがもつ能力はそれだけではない。道具づくりの名人や歌手、芸術家、恋愛の達人、都会っ子(人間が生みだした環境に適応する)など、世界にはさまざまな能力をもつ鳥たちがいる。

彼らを紹介し、その能力の基盤に迫る1冊がブルーバックス『鳥! 驚異の知能――道具をつくり、心を読み、確率を理解する』だ。鳥たちの行動を知るだけでなく、「知能とは何か?」に迫る一冊である。

 生物学 

[B2053] 鳥! 驚異の知能 道具をつくり、心を読み、確率を理解する

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著:ジェニファー・アッカーマン

訳:鍛原 多惠子

数千曲の歌を歌い、道具を使い、贈り物をし、葬式を挙げる……。最新科学に基づいて、鳥類の数々の知的な行動を紹介。鳥はすごい!

定価 : 本体1300円 (税別)

ISBN : 978-4-06-502053-1