甲子園に行ける子は、13歳までに決まっているという現実

ドキュメント 野球エリート
赤坂 英一

中学生で146km

森本のチームに入った根尾は、ボーイズの世界で様々な伝説をつくる。中学3年生だった'15年、プロの中日の二軍本拠地・ナゴヤ球場で行われた大会に投手として登板。

146kmを計測し、スーパー中学生ナンバーワンの評価を決定的なものにした。森本は市立岐阜商業、NTT東海で捕手をした経験があり、最初は根尾の投球練習も自分で受けたが、一度だけですぐにやめてしまった。

「あまりに速いんで怖くなりました。本当です。それでも根尾のほうは、ぼくに気を使って、軽く投げていたようですが」

走攻守にわたる活躍の評判は全国に轟き、真っ先にスカウトにきた慶應をはじめ、全国から強豪高校がスカウトにやってきた。

名監督として知られた人物から直々に会いたいとまで言われたなか、根尾は自分自身の判断で小6の夏に甲子園で魅了された大阪桐蔭を選ぶ。

昨年春、その大阪桐蔭で、根尾が鮮烈な甲子園デビューを飾ったことは冒頭に書いた通り。あれから1年、より逞しさを増した根尾はいまや堂々たる主砲へと成長した。

今年最初の練習試合の関西学院戦では4番に入り、高校通算21号本塁打を逆方向へかっ飛ばした。この一発を含む3安打猛打賞と気を吐き、「外のボールを強く打てたのは振れてる証拠。状態は間違いなく上がってます」と言うことも頼もしい。

そんな成長著しい根尾を、西谷浩一監督は今年の選抜でも二刀流で起用するつもりだ。「投手陣は現時点では根尾が一番いい。いい投手から使いたい」と、昨年のようなリリーフだけではなく、状況次第では先発させることも示唆している。

昨年から根尾をマークしているプロのスカウトたちも興味津々だ。この日は練習試合にもかかわらず、阪神や広島など5球団のスカウトが視察に訪れた。

阪神の畑山俊二チーフスカウトは「反対方向にあれだけ強い打球が打てるのは大したものですね」と高評価を与えている。また、かつては中田翔や大谷翔平、昨年は清宮幸太郎と甲子園のスターたちを次々に獲得した日本ハムの球団幹部は、私にこう語った。

「獲るかどうかは何とも言えませんが、興味ならある。当然でしょう」