ブラック企業勤務より10倍ヒドい「中国人技能実習生」の悲鳴

彼らの嘆きのネット投稿をみよ
安田 峰俊 プロフィール

在日中国人も信じられない

むろん、上記の書き込みをおこなった人物の身元はわかっておらず、彼女が本当に逃亡実習生なのか(それどころか本当に女性なのか)を特定するすべもない。だが、書き込み内容に近い話は、日本全国で数多く起こっている模様である。

「逃亡実習生の一部は、長野県や千葉県などの農家で不法就労をおこなう例が多い。在日中国人(のマフィア)から偽造の在留カードを買って、それを使って農家に雇ってもらうみたいだ」

 

筆者の取材にそう語るのは、遼寧省で塗装業に就く王国栄氏(仮名、28歳)だ。彼は2010年代に入ってから中国人技能実習生として来日した経験を持つ。

「日本という国は好きだが、実習生の3年間は人生で最悪の時間だった」と語る王氏は、かつて岐阜県内の工場で散々に罵倒されながら最低賃金で働かされ続ける毎日を送り、(詳しい事情は不明だが)「不法滞在者になりかけた」ディープな過去も背負っている。

Photo by iStock

彼いわく、地方の一部の中小企業の日本人たちのひどい振る舞いはもちろんだが、同胞である在日中国人たちによる、技能実習生や逃亡実習生への詐欺も猖獗を極めていたという。

詐欺のターゲットにされる

「技能実習生は日本語ができず、実習先の会社からの拘束の厳しさから警察に駆け込むこともできないため、詐欺のターゲットにされやすい。逃亡実習生の場合はなおさらだ。

Photo by iStock

いちばん多いのは、在日中国人から『携帯電話の契約を手伝ってやる』と言われ、契約を代行してもらった後にスマホを持ち去られ転売されるパターン。使用料の請求書だけが自分のところに回ってくる結果になる。」

「この手続代行詐欺はほかにも、クレジットカードの作成の『代行』を頼んだ中国人にカードを使いまくられたり、銀行口座開設を頼んだら架空口座として売り飛ばされる例もある。逃亡した実習生が『いい仕事を紹介してやる』と持ちかけられ、紹介料を騙し取られたりとんでもない職場に送り込まれることもある」

「技能実習制度は、日本人が中国の若者を食いものにするために作られている制度だと思う。技能実習生(や逃亡実習生)は法的に弱い立場だ。だから、俺たちを食いものにする在日中国人の詐欺師の暗躍も許している」

今回翻訳したトピックの逃亡実習生も、こうした被害の当事者だったのか。

日本政府は昨年11月、外国人技能実習制度の対象職種に「介護」を追加。問題の極めて多いこの制度の撤廃どころか、さらなる拡大の意向すら見せている。日本の高負荷・低賃金労働の現場を支える闇はあまりにも深い。