典型的ベッドタウン・町田が今「多摩の渋谷」と呼ばれる本当の理由

賑わう中心街の裏側では…
現代ビジネス編集部 プロフィール

町田市の人口はこの10年で2万人増

町田駅周辺に人口が集中するのはなぜだろうか。駅近くに立ち並ぶ古い団地の中の公園で、おしゃべり中の女子高生たちに聞いてみた。

「えー、町田なんか何も変わってないよー。西の渋谷って言われてる? ハッキリ言って、全然違う。ちっともお洒落じゃないし。同級生もわざわざ街に出て遊ぶとかあんまり聞かない。小田急の北側(原町田6丁目周辺)とか、昼キャバめちゃくちゃ多くて、マジで雰囲気悪いし」

 

同じ公園で休憩中のご高齢の女性二人にも聞いた。

「街なかに人が増えたというのは、本当にそう感じるけど、街が何か変わったかと言われるとねえ。町田は小田急線と横浜線の乗り換え駅だから、中心街は周辺の街から買い物や飲み会に出てくる人がもともと多いの。私たちも、川(境川、相模原市との境界)の向こうから、こうやって週に何度か自転車で買い物に来るのよ」

どうやら、町田の中心街に変化があったというより、周辺を含めた外部からの流入が増えていることが中心街の活況に影響しているようだ。

森野住宅町田駅から徒歩数分だが、横浜線の南向こうにはすぐこんな歴史のある団地(森野住宅)が控える
町田市民ホールと市役所庁舎人口増加に対応するため、2012年に新設移転に辿りついた町田市庁舎(手前は大規模改修を終えた市民ホール)

実は、町田市の人口は2007年の40万人強から18年の42万人強へと約2万人も増えている。その4割は、多摩市や八王子市から町田市の西側(小山・小山ヶ丘エリア)にかけて広がる「多摩ニュータウン」が支えている。商業施設のリニューアルや大規模マンションの新設により、この10年間で8000人以上増えた。残り6割は、町田駅周辺を含む市の東側の増加分だ。

と言っても、町田駅を取り囲む同心円状に人口が増えているわけではない。町丁ごとの人口増加数を比較してみると、この10年で数百人増えたエリアが4割ほど、1000〜2000人の大幅増を果たしたエリアが2割ほど、ほぼ増減なしが3割ほど、1000人以上の大幅減になったエリアが数箇所、といった具合。町田駅の一極集中ではなく、大まかに言えば、市全体として人口が伸びているのである。

玉川学園は「町田市民」の意識が薄い

町田の中心街以外がどんな状況なのかを確かめるべく、足を伸ばしてみた。小田急線の東京寄りの隣り駅「玉川学園前」。駅前にある不動産屋の社長が面白いことを教えてくれた。

小田急線「玉川学園前」すぐの学園キャンパス小田急線「玉川学園前」すぐの学園キャンパス。周囲には瀟洒で閑静な住宅街が広がる

「玉川学園エリアはブランド志向の強い街で、長く住んでいる人たちは何かにつけてこだわるんです。大学教授や芸術家もけっこう住んでいて、近所のアパートに住んでいる学生たちのモラルにも口うるさい。学生はバイトや飲み会でしょっちゅう行くから、町田駅周辺に親しみがあるようですが、古い住民に『町田市民』の意識は薄い。隣り駅だからといって、原町田エリア(町田駅周辺)と玉川学園エリアを一緒にしないでくれ、という強いプライドを持ってます

「町田は昼間人が多く、最近はタワーマンションもいくつかできて、確かに賑わってる感じはしますが、実情は複雑です。地代が高いので長く続く店が少なく、飲食店は入れ替わりが激しい。昔に比べると、看板ばっかりキレイなチェーン店が増えて、店の質は確実に下がってます。混んでて活気はあるけど、そこに住みたいとは思わない、そういう意味では渋谷に似てますかね(笑)」

不動産屋で聞いた話を証明するように、玉川学園前駅そばのスーパーは、近隣の住民と思われる買い物客で平日の昼間から混雑している。しばらく眺めてみたが、年齢にかかわらずお洒落なファッションの女性がとても多い。二子玉川や自由が丘と比べてもさほど遜色のない、洗練された雰囲気が漂っている。