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森友文書問題と自衛隊「日報隠ぺい事件」の、驚くべきほどの共通点

これはやっぱり、民主主義の危機では
「森友学園を巡る文書の改ざん問題は、南スーダンPKO派遣部隊の日報隠蔽と酷似している」――ジャーナリストで、防衛省による「日報隠蔽」を情報公開請求によって暴いた布施祐仁氏の特別レポート。

一刻も早く原因究明を

森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題が永田町を激震させている。3月17、18両日に行われたマスコミ各社の世論調査で、安倍政権の支持率は軒並み、前回調査から10ポイント以上急落し、30%台となった(不支持は50%前後)。これは当然の結果だろう。

なにせ、国会に提出された公文書が意図的に改ざんされていたのである。このようなことがまかり通れば、正確な事実を元に国会で審議することができなくなり、国権の最高機関である国会は立法や行政のチェックなどの機能を十分に果たせなくなる。

昨年来、防衛省の南スーダンPKO派遣部隊の日報隠蔽、加計学園をめぐる文部科学省の「総理のご意向」文書に関する不適切な対応、裁量労働制の労働時間をめぐる厚生労働省のデータねつ造など、政府の出す情報への信用を失墜させるような事案が相次いで起こっている。

これは、極めて深刻な事態である。政府が国会に提出したり、国民に情報公開する公文書が信用できないとなると、もはや民主主義は成立しない。

個々の事件も重大だが、公的情報の改ざん、隠蔽、ねつ造が省庁をまたがって多発しているということに、私は最大の危機感を覚える。一体なぜ、このような事態が起こっているのか。一刻も早く原因を突き止め、対策を打たなければ、この国の民主主義が壊れてしまうと言っても言い過ぎではないだろう。

 

あの時と「そっくり」

上に挙げた事案のうち、私は防衛省の日報隠蔽問題を追及してきた。防衛省は当初、私が行った情報公開請求に対して、南スーダンPKO派遣部隊の日報は廃棄済みで存在しないと回答した。

しかし、その後、防衛省の中で日報が保管されていることが明らかになり、最終的には、防衛省は保管を知りながら意図的に隠蔽していたことが判明した。隠蔽に関与した関係者は懲戒処分を受け、当時の稲田朋美防衛大臣は監督責任をとって辞任した。

この問題をずっと追い続けた立場から今の財務省の文書改ざん問題を見ると、あまりにも構造が似ていることに驚く。本当に「そっくり」なのだ。防衛省と財務省という別の省庁で起こった2つの事案の共通点を探っていくことで、現政権のもとで相次ぐ情報隠蔽の原因が何か見えてくるかもしれない。

まず、2つの事案に共通するのは、国会での「虚偽答弁」との整合性をとるために隠蔽・改ざんが行われたという点である。

財務省の文書改ざんでは、当時の佐川宣寿理財局長が国会で、「(国有地売却の)価格について、こちらから提示したこともないし、先方からいくらで買いたいといった希望があったこともない」「不動産鑑定士に価格を鑑定してもらい適正な価格で売っている」「政治家の方々の関与は一切ない」などと答弁したこととの整合性をとるために、決裁文書からそれと齟齬のある記述を削除したとされている。

防衛省の日報隠蔽でも、陸上自衛隊(以後、陸自)が当初、日報を保管していたにもかかわらず「既に廃棄した」と偽って開示しなかったのは、日報に当時の政府答弁とは齟齬のある記述が随所にあったからだと思われる。

2016年7月、自衛隊が活動する南スーダンの首都ジュバで政府軍と反政府勢力の激しい戦闘が発生した期間の日報には、「戦闘」という言葉が繰り返し使われていた。しかし、政府は国会で「戦闘ではなく衝突、いわば勢力と勢力がぶつかった状態」(安倍首相)などと答弁し、それを理由にPKO参加5原則は維持されているとして、派遣継続と駆けつけ警護などの新任務付与を決めた。

首相が国会で戦闘の発生を否定している時に、現地の部隊が作成した日報に「戦闘」と書かれていることが明らかになれば、首相の答弁の正当性が崩れかねない。その結果、自衛隊の撤収に追い込まれたり、政権が重視する駆けつけ警護などの新任務付与ができなくなる可能性もあった。日報の隠蔽は、それを回避するために行われたと私は見ている。

さらに、この事案では、日報の隠蔽が発覚しないようにするために、「第二の隠蔽」が組織ぐるみで行われた。