「本当にうまい野球選手」をプロとOBが選んだらこんな結果になった

そんな見方があったのか…
週刊現代 プロフィール

古田と谷繁二大捕手の違いとは

キャッチャーについては'90年代~'00年代のセ・リーグを代表する二人が票を分け合った。古田敦也(元ヤクルト)と谷繁元信(元中日ほか)だ。

同時代の阪神のエース、藪恵壹氏が語る。

「キャッチャーのうまさは、投手に気持ちよく投げさせるかどうかに尽きます。その点において、『動』の古田さん、『静』の谷繁が最高です。

古田さんが捕ると、いわゆる『際どいボール』が全部ストライクに見える。あれは、『フレーミング』です。

ストライクゾーンに入るか入らないかというギリギリのボールを捕球する瞬間に、古田さんはミットをすばやく内側に寄せてストライクに見せてしまう。審判の目を騙すわけです。

これに対して、谷繁はサインを出すとミットをピタッと止め、絶対に動かしません。ピッチャーは足をついてボールを離す瞬間に、キャッチャーのミットを目視している。

谷繁は、そのタイミングにあわせて『動かない的』を作り出しているのです。おかげで、コントロールのしやすさが格段に違う」

Photo by GettyImages

身体能力か、それとも堅実さか。見方が2つに割れたのが、守備のうまさだ。

いちばん票を集めた(4票)のは広島の現役セカンド・菊池涼介だ。

自身もセカンド守備の名手として知られた仁志敏久氏(元巨人ほか)は、菊池の才能を絶賛する。

「プロ野球の歴史で菊池に並ぶ人間はいないと思います。守備は、反射能力、脚力、肩の強さと、野球の動きのなかでトータル的な能力が一番試される。だから、どんなに練習しても上達に限界があるんです。

その点、菊池はスライディングをして捕って、投げるという一連の動作を一瞬でこなすことができる。あれは天才というよりほかない。1試合に何回もファインプレーを出せる集中力も驚異的です」

 

一方で、前出の広島OB・山崎氏は、菊池の才能を認めたうえで「本当に『うまい』のは宮本慎也(元ヤクルト)だ」と語る。

「彼は捕球からスローイングに至るまで、最後まで基本を崩さず、お手本のようなプレーをします。どんな打球に対しても、基本を崩さずに対応することが、じつは一番難しい。

『華麗な守備』と『基本の守備』は違う。宮本は難しい打球をファインプレーにしないでひっそりと処理しているからこそ、うまいのです」

基本に忠実な守備の名手として、もうひとり名前が挙がったのが、小坂誠(元ロッテほか)だ。

長年、ロッテの主軸として活躍した山崎裕之氏が言う。

「ロッテ戦の解説をしていると、『これはヒットになるな』という打球が飛んだ先に、すでに小坂がまわりこんでいるという場面が幾度となくありました。

彼は、チームのピッチャーがどんなときにどんな球を投げるか、バッターがどんな打球を打つかを事前に予想できるから、打った瞬間に動くことができる。打球が飛んでくる前に勝負がついているのです」

プロ独特の視点を参考にすると、野球の見方がガラリとかわる。野球を見るのがもっと面白くなるはずだ。

OB一覧①(五十音順・敬称略)/新井宏昌(近鉄ほか・'75~'92)、石毛宏典(西武ほか・'81~'96)、江本孟紀(阪神ほか・'71~'81)、大野豊(広島・'77~'98)、川崎憲次郎(中日ほか・'89~'04)、関本四十四(巨人ほか・'68~'78)、武田一浩(日ハムほか・'88~'02)、立浪和義(中日・'88~'09)、デーブ大久保(巨人ほか・'85~'95)、得津高宏(ロッテ・'67~'82)、仁志敏久(巨人ほか・'96~'10)
OB一覧②(五十音順・敬称略)/西本聖(巨人ほか・'75~'94)、松沼博久(西武・'79~'90)、藪恵壹(阪神ほか・'94~'10)、山崎武司(中日ほか・'87~'13)、山崎裕之(ロッテほか・'65~'84)、山崎隆造(広島・'77~'93)、山田久志(阪急・'69~'88)、若松勉(ヤクルト・'71~'89)

「週刊現代」2018年3月24日号より