「本当にうまい野球選手」をプロとOBが選んだらこんな結果になった

そんな見方があったのか…
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では、ピッチャーの「うまさ」とは、いったいいかなるものなのか。

切れ味鋭いシュートで通算165勝を重ねた元巨人・西本聖氏が言う。

「個人的には、大谷翔平(エンゼルス)やダルビッシュ有(カブス)のように、力強い速球で押して三振をとるタイプのピッチャーは、『すごいな』とは思っても、『うまい』とは感じません。

私が唸らせられるのは、球速に恵まれなくても、コントロールを武器に巧みに勝ち星を積み重ねるタイプのピッチャー。

極端なことを言えば、10球中8球ぐらい狙ったところに投げられる技術さえあれば球速は必要ない。球種とコースの組み合わせを工夫すれば、実際には130kmのボールを150kmに見せることだってできるからです」

コントロールを駆使した打者との駆け引きのうまさにおいて、最多の4人のOBが名前を挙げたのが、江夏豊(元阪神)だ。

江夏の円熟期、広島時代のチームメイトだった前出・大野氏が語る。

「ふつう、僕らは初球に投げた球がストライクかボールかによってその後の投球の組み立てを変えていきます。

ところが、江夏さんは最初から自分の狙ったところに投げられるから、投球前にすべての配球を想定し、その通り投げれば、打ち取ることができる。

ご本人から直接『1球目はここに投げて、2球目はこうすれば、3球目で打ち取れるんだ』と教えてもらったこともあるのですが、生涯マネすることはできませんでしたね」

 

プロ野球史上歴代7位の284勝を挙げた元阪急・山田久志氏は、江夏の驚異的なコントロールの源泉は、独特の「間」にあったと分析する。

「同じ投手の目から見ているとわかりますが、江夏のフォームには、振りかぶって足を上げてバッターに向かっていく瞬間に、0コンマ何秒という間があるんです。

あのわずかな時間で、江夏の目は、ストライクゾーンと、バッターの動きをとらえている。あれこそが、唯一無二のプロのワザです」

では、対戦するバッターの目から見て「うまさ」を感じるのは、どういうピッチャーか。

ミスタードラゴンズこと立浪和義氏が言う。

「現役選手の中で抜群なのはオリックスの金子千尋だと思います。あれだけいい直球を投げられるうえに、変化球も自由自在。本当に器用です。

彼のピッチングフォームを見ればわかりますが、ストレートと変化球で腕の振りがまったく変わらない。予測がつかないんです。対戦したら、苦戦させられるだろうなと思うピッチャーです」

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走塁のうまさでは、1065盗塁の日本記録をもつ、福本豊(元阪急)が集中的に票を集め、他を突き放した。

福本と日本シリーズで対戦した元巨人の投手、関本四十四氏が言う。

「小柄なのに歩幅が広いとか、スタートの早さとか福本さんの走りには卓越した部分がたくさんある。

でも、あれだけの数を積み上げられた最大の要因は、塁に滑り込むときのスライディングのスピードがぜんぜん落ちないことにあります。普通、塁が近づくにつれて、ややスピードを落とすものです。でも、福本さんは最高速で突っ込める。天性の技です」

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